○建築士法
昭和25年7月1日に施行された、建築物の設計・工事監理等を行う技術者の資格を定めて、業務の適正化をはかり、建築物の質の向上に寄与することを目的とした法律です。
また、「建築基準法」という法律も昭和25年に施行されていますが、こちらは建築物に最低限の規制や基準を設けた法律になりますが、建築士についての記述もあり、建築物を安全に建てるためのいろいろな手続が定められています。
○建築士
建築士法では、建築物の安全性などの質の確保を図るため、原則として建築士が設計・工事監理を行わなければならないこととされています。
建築士の資格には、一級建築士、二級建築士及び木造建築士の3種類があり、建築物の規模、用途、構造に応じて、それぞれ設計・工事監理を行うことが出来る建築物が定められています。
この資格は、国家(知事)試験により国や都道府県から与えられたものになります。
■一級建築士
国土交通大臣の免許を受けており、一級建築士の名称を用いて、複雑・高度な技術を要するすべての建築物の設計・工事監理等を行うことができます。(ただし、一定規模以上の構造設計や設備設計をおこなうには、構造設計一級建築士や設備設計一級建築士証の交付を受けている者の関与が必要になります。)
一級建築士しか設計・工事監理できない建築物
(例)
・高さが13m又は軒の高さが9mを超えるもの
・鉄筋コンクリート造、鉄骨造等で延べ面積が300㎡を超えるもの
■二級建築士
都道府県知事の免許を受けており、二級建築士の名称を用いて、設計・工事監理等の業務を行うことができます。
一級・ 二級建築士しか設計・工事監理できない建築物
(例)
・鉄筋コンクリート造、鉄骨造等で延べ面積が30㎡を超え300㎡以内のもの
■木造建築士
都道府県知事の免許を受けており 、木造建築士の名称を用いて、木造の建築物の設計・工事監理等の業務を行うことができます。
一級・二級・ 木造建築士のいずれもが設計・工事監理できる建築物
(例)
・2階建までの木造建築物で延べ面積が100㎡を超え300㎡以内のもの
○設計
建築士法において、「設計図書」とは建築物の建築工事の実施のために必要な図面(原寸図その他これに類するものを除く。)及び仕様書を、「設計」とはその者の責任において設計図書を作成することをいいます。
ここで、建築士は建築基準関係規定を遵守しながら、安全性や機能性などを考慮し、建築物の設計図書を作成します。この設計図書が適切に作成されていれば、その設計図書に基づいて行われる工事監理業務に支障は生じません。安全で安心な建築物を建てるためには、建築士に設計を依頼し、適切な設計図書を作成してもらうことが必要といえます。
○工事監理
建築士法において、「工事監理」とは、その者の責任において、工事を設計図書と照合し、それが設計図書のとおりに実施されているかいないかを確認することをいいます。
工事監理は、建築物の安全性等を確保するために確実に実施されなければならないことから、建築基準法では、建築士である工事監理者を定めなければならない規定されています。工事監理は設計者に依頼することが多いですが、別の建築士を選定しても構いません。
○その他の建築士の役割
建築士は、設計や工事監理といった独占業務の他に、「建築工事契約に関する事務」や「建築工事の指導監督」、「建築物に関する調査又は鑑定」、「建築に関する法令又は条例に基づく手続きの代理」なども行うことができると建築士法に規定されています。
○建築士の懲戒処分とその種類
建築士の行う業務に係る不正行為等に厳正に対処し、建築士の業務の適性を確保することを目的に『建築士の懲戒処分の基準』を定められています。
■一級建築士・・国土交通大臣が免許を与えているため、国土交通大臣が懲戒処分することになります。
■二級及び木造建築士・・都道府県知事が免許を与えているため、都道府県知事が懲戒処分することになります。
建築士の処分区分は以下のように定められています。
免許取消・・与えられた建築士免許を取消します。一番重い処分になります。
業務停止・・一定期間、業務の停止(1月未満~12ヶ月まで幅があります)
戒 告・・懲戒責任を確認し、その将来を戒めるものであり、業務停止などはありません。
文書注意・・文書により必要な指導、助言または勧告を行うものであり、業務停止などはありません。
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