「まちづくり・すまいづくり相談窓口」情報交換会における議論のポイント

 中部地方整備局建政部においては、6月18日に、「まちづくり・すまいづくり相談窓口」の活動の一環として、中部管内の4県及び名古屋市、中核市など17市町の都市整備担当者、住宅整備担当者にお集まりいただき、情報交換会を開催いたしました。この情報交換会においては、3グループに分かれて以下に掲げるテーマについて意見交換を行いました。意見交換で出されたポイントとなる意見について以下にご紹介します。

 1. 「パートナーシップ」
 2.「まちづくり・すまいづくりの推進体制」
 3.「まちづくり・すまいづくりを担う人づくり」
 【参考となる事例】

T.グループ1.「パートナーシップ」
公民パートナーシップのきっかけ
  • 地域の高齢化、中心市街地の低迷等に対する住民の危機感が契機となり、行政と住民との協働がスタートしたケースがいくつか見られる。
事業推進が主体となりがちな行政の働きかけ
  • 行政はともすると事業を実施したいが故に地元とのパートナーシップを持ちかける傾向があり、事業よりもまずまちをどうするかと考えている住民とのギャップがある。
「人さがし」の重要性
  • パートナーシップを進めるには、地元のリーダーを見つける必要がある。協議会のような組織を作ること自体が重要なのではなく、どのような協働組織を形成していくのかができてからではなく、その前の段階が重要。
行政と地元の役割分担
  • 街路の拡幅に併せ、行政からまちづくりを考えようと地域住民に提案し勉強会を開催した。勉強会では行政は口をはさまず住民主体の議論が進められ、結果として地区計画が提案された(行政の音頭取りとその後の住民の主体的活動)。
  • 行政が地域住民の声を聞きながらデザインした街路灯の管理をまちづくり協議会に無償で委託している。ものは行政がつくり、管理は住民がという連携ができてきた。
  • 理想的には行政主導ではない形でやりたいが、計画案のたたき台をつくるところは行政の仕事ではないか。
学識経験者の活用
  • 学識経験者が住民の活動を後押しすることでうまくいっている事例がある。学識経験者は多くの事例を知っていることが大きい。
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U.グループ2.「まちづくり・すまいづくりの推進体制」
重要なトップのリーダーシップ
  • 行政の推進体制について言えば、首長の判断やリーダーシップが重要となる。首長が熱心なところは、住民活動支援のための専属的組織を設けるなど充実する。
間口を拡げたまちづくり住民活動支援体制
  • 行政がまちづくりのための組織を設置し住民活動を支援していく上では、間口の広げ方が重要。単にハード整備や狭義の「まちづくり」だけではなく、福祉や環境といったテーマを取り込んだ方がより効果的で住民の理解、協力を得ることができる。
継続的な住民活動に向けた支援
  • 住民活動は年数が経つと活動がだんだんと不活発なものになってくる場合がある。行政がちょっとした支援を継続することにより、継続的な取り組みを支援することも重要。
地域の活力が必要
  • 停滞している地区においては、現状打破のために活気を取り戻すことが必要。現に歴史的街並みを保全・再生しようという活動を通じて地域が活力・活気を取り戻し、まちづくりの気運が醸成されてきている地区もある。
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V.グループ3.「まちづくり・すまいづくりを担う人づくり」
人づくりの基本はボトムアップ
  • 人づくりに関しては、「リーダー」の育成よりも、まずはボトムアップを図っていくことが重要。
行政主導から地域主導へ
  • これまでは、各種事業の実施など、行政としてのまちづくりの方針が明確であったこともあり、行政がリーダーシップをとって住民組織の育成や住民意識の向上を図ってきたケースが多かったが、今後は住民や住民組織のイニシアティブのもとに様々な活動が展開され、行政はサポート役に徹する必要がある。
まちづくりは「人さがし」
  • 活発な住民まちづくり活動を進めていくためには、人づくりに加え、組織の中核をなす人材を探す/見いだすことも重要。その意味で、「人さがし」もまちづくりのポイントの一つ。
行政と住民を繋ぐ「翻訳者」
  • 行政と住民とをつなぐ「翻訳者/仲介者」の存在が重要であり、こういった人材の育成も重要。
「足」で見つけるまちづくりの「兆し」
  • 行政としては、まちづくりの兆しを的確に見つけ、支援していくことが重要であるが、そのような「兆し」を見つけるためには「足」で稼ぐのことも必要。
専門的分野の人材育成
  • 歴史的な建造物の保全などの専門性の極めて強い分野では住民のみの活動では限界があり、専門分野の人づくりやネットワークの形成も重要。
総合学習との連携
  • 総合学習との連携も人づくりという意味で重要であるが、この際、行政側の意向で教材を作成し、学校に押しつけるのではなく、学校の先生との日常的な関係を構築すること等により、学校、教師のニーズを的確に把握し、教師が主体的に判断する材料の提示や教師が求める教材の提供を行うことが重要。
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【参考となる事例】
NPO、大学、経済界等との連携
  • NPO、大学との連携によるチャレンジショップ(豊橋市)
  • 「まちづくりリーダー養成講座」(静岡県、静岡文化芸術大学)
  • 大学等との連携による街なか活性化フォーラム(豊橋市)
市民活動等の支援
  • 市民活動支援センター(しみんてい)(犬山市)
  • 公開で応募し市民が査定する市民活動支援助成金(犬山市)
  • 名古屋都市センターによるまちづくり助成等(名古屋市)
  • まちづくり条例の制定と活動助成、講師派遣(H17年度予定)(静岡市)
  • 3校とタイアップした総合学習への支援(浜松まちづくりセンター)
  • まちづくり人材の育成、出前講座(浜松まちづくりセンター)
  • 市民協働によるまちづくりを推進する「市民協働条例」(浜松市)
  • 小中学生に住教育等を行う専門家の活動を支援する「住まいの語り部」制度(三重県)
行政組織の強化
  • 市民活動の相談に応じる行政組織「教えてくれません課」(岡崎市)
  • 区毎にまちづくりセンターと総合支援室を設置(予定)(静岡市)
  • 行政組織を国の省庁再編等の動きに合わせて、横断的に統合・創設(名古屋市)
  • 相談員を小学校区毎に配置(旧清水市)
市民団体、NPO等の活動
  • 伊勢河崎商人館と伊勢河崎まちづくり衆(NPO)(伊勢市)
  • 生涯学習都市の人づくりによるまちづくりを研究する「とわなにか学舎」(掛川市)
  • 岐阜大学、十六銀行のイニシアティブによる「ぎふまちづくりセンター」(岐阜市)
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