本文へ安全な河川敷地利用のためのワーキング

水難事故事例2 玄倉川の場合

多くの人が見守る中13名の尊い命が!

 平成11年8月13日15時から降り出した雨は、20時には1時間の雨量が25ミリに達する強い雨となった。さらに大雨の予想があったので神奈川県玄倉川の玄倉ダムは放流を開始した。

 その後小康状態だったが、14日8時頃に再び強い雨になり、急激に水量が増加したため、玄倉ダムの放流量も増加していった。放流に際しては、職員巡回・サイレン鳴動が行われ、警官も巡回している。これに対して当時玄倉川にいたキャンパーの多くは避難したが、事故現場の18名だけは、再三の警告にも従わず立ち去らなかった。

 8時30分、水深は普段より85cm程度高い100cmに達し、中州に取り残された18名はどちらの岸にも戻れなくなっていた。警察・消防に通報が入り、救助隊が駆けつけたが、なかなか有効な手は打てなかった。水位はますます上昇。警察は玄倉川ダムの放流を止めるように要請し、11時頃にはダムもそれに応じて放流用ゲートを閉じた。しかし、玄倉川ダムの貯水量はごく小さいためゲートを閉めておくとダムが決壊することが予想され、わずか5分でゲートを再度開けざるを得なかった。

 18人は中州の一番高い部分で濁流に耐えていたが、11時38分ごろ,多くの人が見守る前で力尽きて流されてしまった。助かったのは5人。残る13名は行方不明となり、後日全員の遺体が丹沢湖にて発見されることになった。

 事故当時の累計雨量は最終的には29時間で349mmとなった。ただしこの値自体はとくに珍しいものではなく、毎年一度は起きるというレベルだという。

用語解説

ダム放流

ダムの有効貯水量を上回る洪水があると、ダムが決壊し周辺や下流に大きな被害が及ぶ恐れがあるため、ダムは放流を始める。下流部で何かが起こった場合でも、放流を簡単に止めることはできない。


↑ページのトップへ戻る