本文へ安全な河川敷地利用のためのワーキング

水難事故事例1 天竜川の場合

67名と車両46台が中州化した川原に取り残される!

 平成16年5月16日午後4時43分、天竜川の川原で開催されていたモトクロス大会の関係者から119番通報が入る。川の増水により大会関係者67名と関係車両46台が中州に取り残され、自力で脱出できなくなったというのだ。直ちに救助活動が開始され、同日午後6時には関係者全員が、翌17日の午前中には関係車両もすべて岸に運び出されたため、大事には至らなかったが、一歩間違えば重大な事故になるところであった。

 天竜川の水位は、大会の始まる午前9時に比べて大会終了の午後2時には60cm上昇、さらに救助活動が開始された午後5時までの8時間の間に120cm上昇した。この120cmの水位上昇が進入路を冠水させ、中州化して退路を断ったのだ。河川敷の広い河川で川筋が網目のようになって流れている川ではいつでも起こりやすい事故だ。

 この大会の主催者は、事前に国土交通省浜松河川国道事務所に対し河川敷地の「一時使用届」を提出しており、その際に「増水や出水に十分注意して開催するように」という注意を受けていた。しかし、前日や大会中の水位に問題がなかったため続行してしまったことが、このような事態を招いてしまったと考えられる。

 川が増水するのは雨だけでなく、ダムからの放流など、川の特性によっていろいろな原因が考えられる。河川利用の際には、できるだけ多くの河川情報を入手して細心の注意で臨むことが大切である。


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