本文へ国土交通省中部地方整備局

ここから本文洪水予報と水防警報について

水害をうけやすい中部地方

中部の気候は内陸部では冬期に雪が多く、海岸側である東海地域では台風の上陸経路であるため夏期に多雨をもたらすとともに、降雨の季節的・地形的変動が激しく、集中豪雨が生じやすいという傾向にあります。
中部地方の地形は、南・中央アルプスなど日本を代表する3,000m級の山々が南北に縦走し、これら広大で急峻な山岳地帯が河川の水源地となっていて、多量の雨は短時間で急勾配の河川を一気に流れ下ります。
濃尾平野は、我が国最大のゼロメートル地帯であり、地下水の過剰揚水等に起因する地盤沈下は近年、沈静化しているものの、一度沈下した地盤は決して回復せず、災害に対する潜在的な危険性は然として高い状態にあります。木曽三川をはじめとする大河川流域の市街地は、そのほとんどが洪水位より低く、堤防により洪水から守られています。
また、中部地方は国際物流・生産の中心地であり、世界の「ものづくり中部」といえます。人口も集中し、東西交通の要衝であることも注目すべき点です。
また、堤防の整備や治水機能を持ったダムの建設などのハード整備は永年の時間を要し、その間にも洪水が来ることも当然あります。近年の降雨を考えると、施設能力以上の洪水も考えなければなりません。洪水予報や水防警報などの情報発信と共に、水防活動や避難などによる減災ソフト対策は、治水の両輪として今後も益々重要になってきます。



写真:狩野川 御成橋(令和元年台風19号による出水)


写真:櫛田川 櫛田橋観測所(令和元年台風19号による出水)

洪水予報(水防法第十条)とは

背景

昭和22年9月15日関東地方を襲ったカスリン台風は未曾有の災害をもたらし、利根川の氾濫は遠く東京までに及びました。この災害を契機として、水防法が昭和24年6月4日、気象業務法が昭和27年6月2日に制定されました。そして、雨量、水位、流量等について河川の上下流間の情報連絡を十分に行うとともに、これらの情報を一般に周知するための洪水予報を実施する必要があるという認識が高まって、利根川、木曽川、淀川に無線局が設置されました。
昭和30年7月11日の水防法改定で洪水予報を行うことが規定され、全国で15の大河川(石狩川から筑後川まで)において洪水予報が行われることになりました。中部地方整備局管内では木曽川水系(木曽川、長良川、揖斐川、根尾川)で、昭和30年9月28日に洪水予報を行う河川として指定されました。昭和32年1月21日には国土交通省(建設省)と気象庁は共同して洪水予報を実施するための協定を締結し、法律に基づく洪水予報が始まったのです(実際には昭和24年から発表を開始していたようです)。
国土交通大臣と気象庁長官が発表する洪水予報については、全国で109水系298河川が指定(令和2年1月1日現在)されており、中部地方整備局が管理する全ての河川13水系20河川で洪水予報を行っています。



図:洪水予報のしくみ

表:洪水予報の指定河川(中部地方整備局関係)

水防警報(水防法第十六条)とは

昭和30年の水防法改正で洪水予報と共に水防警報が規定されました。これは、水防活動を行う必要があることを警告するためのものとして、水防機関へ出動と準備に指針を与えるための河川管理者(国土交通省)からの情報発信です。
水防警報は、全国で109水系430河川が指定(令和2年1月1日現在)されており、中部地方整備局が管理する全ての河川13水系37河川で水防警報の発表を行っています。
中部地方整備局の管理する河川では、「準備」と「出動」「解除」の他に、「情報」を発表することもあります。


避難判断水位(特別警戒水位)の到達情報(水防法第十三条)

洪水予報は河川が氾濫する前に余裕を持って避難できるよう、水位や流量を予測して発表しています。しかし、降雨から水位の上昇までの時間が短く、洪水予報を行う時間的な余裕がない中小河川での情報発表はどうしたらよいのでしょうか。
これを解決するため、氾濫危険水位から避難に要する一定時間の水位変化量を差し引いた水位として特別警戒水位(避難判断水位と読替える)を設定(中小河川の特別警戒水位の設定要領)し、この水位に到達した場合に通知・周知するとしたものです。この水位設定は、過去のもっとも急激な水位上昇速度で決めておりますが、場合によっては予想以上に早く氾濫危険水位に到達することもあります。この発表は「氾濫警戒情報」として、県を通じて市町村に通知しています。
避難判断水位の到達情報は、全国で63水系150河川が指定(令和2年1月1日現在)されており、中部地方整備局では水防法で設定する必要がある全ての河川8水系19河川で避難判断水位を設定し、到達情報(氾濫警戒情報)の発表を行っています。


防災情報体系の見直し

国土交通省では学識者や水防専門家による委員会(洪水等に関する防災用語改善検討会)を設置し、防災情報のあり方を検討していました。平成18年6月22日に出された委員会の提言では「発信者側の用語・表現」から「受け手側にたったものに改善する」として、多くの防災用語や防災情報の改善を求められています。水位に関する情報を危険度がわかるようなレベル表現を採用し、洪水警報が避難の準備や避難そのものを行う判断材料になるようにする必要との指摘をしています。
この提言を受け、国土交通省では「洪水等に関する防災情報体系の見直し」として、水位の名称変更と危険度のレベル化、洪水予報の発表方式の変更、発表に関わる防災用語の改善を行うこととしました。



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