ふじあざみ 第41号(1)
ふじあざみ タイトル
 
気象災害予知を担う
 富士山での土石流やスラッシュ雪崩の発生予知においては、発生域での降雨状況、特に短時間に集中する豪雨を把握し、その後の降雨域の移動を推定する必要があります。また、富士山は高標高の突出した独立峰であるため、局地的な豪雨が発生しやすく、それらが土石流の発生の誘因ともなっています。そこで、発生域での降雨状況を面的に把握し、降雨域の移動を推定する必要性から、今年度、富士砂防工事事務所の鉄塔に小型レーダーを設置する工事を行っています。
 いままで富士山の土石流発生域(五合目より上流)では、従来の地上雨量計では上昇気流の風などにより正確な計測ができず、電源もとることができない上、さらには既存のレーダーでは把握しきれないエリアでした。しかし、今回の小型レーダー設置により、これらの問題点が払拭され、富士山南西域の雨量状況を局地的なものも含め、リアルタイムに把握することが可能となります。
 このレーダーから発射された電波は、途中の雨滴や雪片に当たり、一部の電波ははね返されて戻ってきます。この反射波の強さが降っている雨や雪の量と関連することを利用して降雨や降雪の量を計測します。
 データは鉄塔の上に設置されたレーダーサイトからデータ処理を行う事務所内の処理装置に送られ降雨強度に変換されます。結果は地図と重ね合わせてカラー表示画としてレーダー端末装置に表示されます。平成15年度からは、データの収集と解析に関する検証を行ない、18年度には市町村等に配信することを目指して整備をしています。
〈ドーム内のレーダー送受信装置〉


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