富士山には多くの渓流が存在し、古くから雪代(ゆきしろ)や土石流などにより大きな被害を受けてきました。 富士山大沢川の直轄砂防事業は昭和44年度から着手し、大沢崩れ・扇状地や富士山南西麓の各渓流において、砂防施設の整備を行っています。また、平成30年度より降雨に起因する土砂災害対策(降雨対策)に加えて、火山噴火に起因する土砂災害対策(噴火対策)に着手しています。
■砂防堰堤土石流とともに流出する立木も捕捉し、河床や渓岸の浸食を防ぐとともに多量の土砂が一気に流れないように調節します。 砂防堰堤には透過型と不透過型の2つの形式があります。
■遊砂地工・沈砂地工 上流からの土石流を分散させ勢いを弱め堆積させます。富士山の渓流は谷が狭く浅いため、地面を掘り込むなどをして、沈砂地(遊砂地)を設置しています。現在、猪の窪川、大沢川、足取川、風祭川、弓沢川、凡夫川に設置しています。
■渓流保全工渓流が曲がる水衝部での崩壊防止や渓床を安定させ、浸食を防止をします。本来の河道を生かし、必要な箇所のみ渓岸を補強し、樹木により斜面の安定を図るなど自然景観や環境に配慮しています。
大沢崩れは、富士山西斜面に位置する我が国最大級の崩壊地です。大沢崩れからは年平均約15万 m3(10tダンプ30,000台分)の土砂が下流に向けて流出しています。 大沢崩れより発生する土石流から下流域を守るため、昭和44年より大沢川扇状地での遊砂地整備や源頭部での工事を行っています。