No. | 用語 | 読み | 解説 | 関連 図表 |
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1 | アーチ橋 | あーちきょう | アーチ(弧を描く曲がりを付けた部材)により自重や自動車の荷重を支える構造を用いた橋。拱橋(きょうきょう)ともいう。使用する材料によって、木造、石造、コンクリート、鋼アーチ橋がある。![]() |
図-1 |
2 | アーチリブ | あーちりぶ | 弧を描く曲がりを付けた部材で、上部構造に作用する荷重を支承部を通して下部構造に伝達する。鋼アーチ橋のように2本のアーチ部材で橋を構成する場合にアーチリブ(拱肋)と呼び、コンクリートアーチ橋や石造アーチ橋のようにアーチ部分の幅を大きくして橋全体に対して一つのアーチ部材を配置する場合にはアーチリング(拱環)という。 | 図-1 |
3 | RC構造 | あーるしーこうぞう | RC(Reinforced Concrete)は鉄筋コンクリートを用いた構造のこと。圧縮に強いが引張に弱いコンクリートを、引張に強い鉄筋で補強した構造。 | - |
4 | RC床版 | あーるしーしょうばん | 床版にRC構造を採用した部材。「No.121 床版」の解説も参照。 | - |
5 | アセットマネジメント | あせっとまねじめんと | 道路や橋梁などの構造物を対象に、将来的な損傷・劣化等を予測・把握し、最も費用対効果の高い維持管理を行う考え方。 | - |
6 | 圧縮強度 | あっしゅくきょうど | 材料が耐えることのできる単位面積当たりの最大圧縮力。コンクリートの場合、「強度」といえば一般的に一軸圧縮強度をさし、コンクリート品質の評価の指標に用いられる。 | - |
7 | あて板 | あていた | 補修や補強を目的として、部材に取り付ける板のこと。一般的には、既設鋼部材に取り付ける鋼板を指す場合が多い。 | - |
8 | アバット | あばっと | 橋台のこと。「No.49 橋台」の解説を参照。 | - |
9 | アルカリ骨材反応 | あるかりこつざいはんのう | セメント中のアルカリ成分と、アルカリ成分との反応性を有する骨材が化学反応を起こし、吸水性の高いゲルが生成され、そのゲルが水を吸収して膨張することでコンクリートにひびわれなどを引き起こす現象。アルカリ骨材反応には、アルカリシリカ反応と、アルカリ炭酸塩反応があるが、日本国内で一般的に確認されているのは、アルカリシリカ反応(ASR)である。 | - |
10 | アンカーボルト | あんかーぼると | 支承本体や鋼製橋脚柱部などをコンクリートの橋座や基礎に固定するため、コンクリート中に埋め込む鋼製の骨組構造。一般的に、ねじ切り加工した異形鉄筋や、異形化丸鋼(棒鋼にスパイラル鉄筋を巻きつけたもの)を用いる。
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図-2 |
11 | アンカレイジ部 | あんかれいじぶ | 吊橋のメインケーブルを地盤などに定着するためのコンクリートブロックで、メインケーブルの両端部に配置される。 | 図-14 |
12 | 安全率 | あんぜんりつ | 構造物の設計で算出する応答値に対し、実構造では作用、材料強度、製作精度などのばらつきが生じ、このようなばらつきに対する安全余裕を考慮するため設けた係数。一般に材料あるいは部材の破壊強度を安全率で割った値を設計で許す上限の強度(許容応力度)とする。 | - |
13 | 異種金属腐食 | いしゅきんぞくふしょく | 異なる種類の金属が接触したとき、電位差によりイオン化傾向の高い方の金属に錆が生じる現象。 | - |
14 | 一般構造用圧延鋼材 | いっぱんこうぞうようあつえんこうざい | JIS G3101に規定される鋼材で、橋、建設、船舶、車両その他の構造物に用いられる熱間圧延鋼材。SS330、SS400、SS490、SS540の4種がある。本来、溶接構造用の鋼材ではなく、橋梁ではボルト接合を前提とした部位・部材(添接板、あて板、フィラープレートなど)への使用が多い。 | - |
15 | ウイング | ういんぐ | 橋台背面土砂の保護を目的として設けられる壁。翼壁(よくへき)とも呼ぶ。一般的には、橋軸方向に橋台の側面に固定して設けられる。
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図-3 |
16 | 上降伏点 | うえこうふくてん | 鋼の引張試験で、最初に降伏したときの応力とひずみ。降伏点には、上降伏点のほかに下降伏点が存在し、上降伏点は試験の際の載荷速度によってその値がかなり変化するため、載荷によるひずみ速度が十分に遅い状態での下降伏点を設計における材料強度の基準値に用いる。 | 図-23 |
17 | ウエブ | うえぶ | 部材を構成する部分の一つで、上下フランジに挟まれた鉛直方向の板。ウエブの形状や箇所によって垂直補剛材や水平補剛材で補剛されている。腹板(ふくばん)ともいう。
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図-4 |
18 | うき | うき | ひびわれがコンクリート内部でつながったり、コンクリート内部の鋼材が腐食により膨張し、コンクリート部材の表面付近がういた状態をいう。
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図-5 |
19 | 内ケーブル構造 | うちけーぶるこうぞう | PC鋼材をコンクリート中のシースに配置する構造。定着部やコンクリートとPC鋼材の付着によりコンクリートにプレストレスを導入する。 | - |
20 | ASR | えーえすあーる | アルカリ骨材反応のうち、コンクリートの骨材のシリカ分とセメント中のアルカリ分により、アルカリシリカゲルが生成される反応。 | - |
21 | エクストラドーズド橋 | えくすとらどーずどきょう | プレストレスト・コンクリート橋(PC橋)の形式のひとつで、外ケーブルを主桁外部に配置し、偏心量を大きくすることでPC鋼材配置を合理化できる構造形式。斜張橋と比較して主塔が低く、主桁の断面が大きい。 | - |
22 | 塩化物イオン | えんかぶついおん | 負の電荷をもった塩素原子。海水中でもっとも一般的な陰イオンであり、塩素イオンともいう。このイオンは鉄、クロム、ステンレス鋼などの金属表面に存在する不動態を破壊、または不動態化を妨げ、鋼材腐食の原因となる。 | - |
23 | 塩害 | えんがい | 鉄筋コンクリートあるいはプレストレストコンクリートにおいて、塩化物イオンが鋼材の不動態皮膜を破壊し、内部鋼材が腐食すること。塩化物イオンは、コンクリート材料に練混ぜ時から存在するものと、巻き上げられた海水や凍結防止剤のように供用中に外部から侵入してくるものとがある。 塩害を最小限度にするためには、材料中の塩化物イオンを減少させる、水密性の大きいコンクリートを施工する、かぶりを十分にとる、ライニング(被覆)の実施、および鋼材に防錆処理を施すなどが考えられる。 |
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24 | 延性 | えんせい | 材料の伸び能力を表し、定量的な述語ではなく、脆性の対語として用いられる。鋼など数%以上の破断伸びひずみを示す場合には延性とみなし、常温で延性を示す材料を延性材料という。 | - |
25 | 遠望目視 | えんぼうもくし | 土木構造物の点検法の一つ。高所作業車や橋梁点検者、ロープアクセスなどは用いず、徒歩、はしご、ポールカメラなどを利用して可能な限り近づき、施設の損傷状態や変状を目視で確認すること。 | - |
26 | 応力超過 | おうりょくちょうか | 部材の応力度の制限値を超えた外力が作用すること。応力超過した部材には、ひびわれ、座屈、亀裂、破断などの損傷が発生する場合がある。 | - |
27 | 遅れ破壊 | おくれはかい | 静的な引張力が作用している鋼材がある時間の経過後に突然破壊する現象。高力ボルト、PC鋼材、高張力タイロッドなど引張強度の高い高張力鋼に生じやすく、その破壊形態は脆性的である。一般的には、引張強さが大きな材料ほど生じやすく、応力集中の状態や使用環境の影響も大きい。静的疲れ破壊、継続荷重破壊ともいう。 | - |
28 | 外力作用 | がいりょくさよう | 部材に対して断面力や変形などの状態変化を生じさせる、外側から作用する力。 | - |
29 | 格点 | かくてん | トラス構造物などの骨組構造物における部材の交わる点のこと。接点ともいう。鋼構造においては、一般に格点を計算上、ヒンジと考えることが多く、軸力やせん断力の伝達はあってもモーメントの伝達は無いものとされている。コンクリート構造においては、一般に格点でも曲げモーメントを伝達するものとして設計する場合が多い。
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図-6 |
30 | 荷重 | かじゅう | 部材等に働く作用を力に変換したもの。 | - |
31 | 河積 | かせき | 河川における流水断面積で、一般的には、計画高水位以下の流水断面積をさす場合が多い。 | - |
32 | 過積載 | かせきさい | トラックなどに最大積載量を上回る荷物を積む違法行為のこと。橋梁部材の主桁、床版、鋼製橋脚などの疲労による損傷の進行を早める原因となる。 | - |
33 | ガセット | がせっと | トラスなどの鋼構造の骨組構造物において、格点に集まる部材を連結するために用いる鋼板。一般にトラスのように剛結でなくヒンジとみなす格点に用いられ、鋼板を外側に板をあてる場合と、弦材のウエブを立ち上げてガセットとする場合がある。繋板(けい板)ともいう。 | 図-6 |
34 | 活荷重 | かつかじゅう | 橋梁上を移動しつつ作用する荷重。自動車、列車、歩行者などによる荷重が一般的で、道路橋示方書においては自動車荷重(T荷重、L荷重)、歩道などに載荷する等分布荷重(群集荷重)などが規定されている。 | - |
35 | 下部工 | かぶこう | 下部構造、または下部構造を構築する工種。 | - |
36 | 下部構造 | かぶこうぞう | 上部構造からの荷重を基礎地盤に伝達する構造部分で、橋台、橋脚及びそれらの基礎をいう。 | - |
37 | かぶり | かぶり | 鉄筋、PC鋼材などコンクリート内部の鋼材表面からコンクリート表面までの最短距離。
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図-7 |
38 | 渦流探傷試験 | かりゅうたんしょうしけん | 渦電流を測定物に与え、表面の渦電流の変化を検出する試験。鋼部材表層付近の亀裂の検出に有効である。他の鋼部材の亀裂に用いる試験の中では測定時間が比較的短い。
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図-8 |
39 | 下路橋 | かろきょう | 車両や歩行者の通行路の位置で橋を分類した場合の一つで、通行路を主桁、トラス、アーチなど橋の主構造の下方に通行路を設けた橋。
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図-9 |
40 | 貫通ひびわれ | かんつうひびわれ | 部材断面の表面から裏面まで貫通したひびわれ。貫通ひびわれが発生していると、裏面(橋台背面や床版上面)からの漏水も発生している場合がある。 | - |
41 | 基礎 | きそ | 下部構造の一部で、橋脚柱や橋台竪壁からの荷重を地盤に伝える構造部分。その構造により、直接基礎、くい基礎、ケーソン基礎などに大別される。 | 図-10 |
42 | 基層 | きそう | 上層路盤(橋梁の場合は床版や踏掛版)の上にあって、その不陸を補正し、表層に加わる荷重を均一に路盤に伝達する役割をもつ層。コンクリート床版では加熱アスファルト混合物を用いることが一般的で、鋼床版ではグースアスファルトを用いる場合がある。 | - |
43 | 橋脚 | きょうきゃく | 橋梁の下部構造の一つで、2径間以上の橋梁の中間部にあり、上部構造からの荷重を支承を介して支持地盤に伝える構造部分。ピアともいう。張出式、壁式、ラーメン式、多柱式などの種類がある。
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図-10 |
44 | 橋脚張出部 | きょうきゃくはりだしぶ | 橋脚の柱上端に上部構造を支持するための梁部。 | - |
45 | 橋座部 | きょうざぶ | 橋脚や橋台において、上部構造を支持するための支承を据え付ける面。「沓座」ともいう。 | - |
46 | 橋軸直角方向 | きょうじくちょっかくほうこう | 橋梁の横断方向(構造中心線または道路中心線に直行する方向)のこと。 | - |
47 | 橋軸方向 | きょうじくほうこう | 橋梁の縦断方向(構造中心線または道路中心線の方向)のこと。一般的に車両の進行方向である場合が多い。 | - |
48 | 供試体 | きょうしたい | 実験に供するために製作された試料や構造物。試験によっては、供試体の作成方法が関連JISや関連学会等の基準などで規程されている場合がある。例えば、土の場合には地盤工学会によって、(1)乱さない試料、(2)突固めによる試料、(3)静的締固めによる試料、(4)締固めをしない試料による方法、さらに、薬液注入による安定処理土の供試体作成方法が定められている。 | - |
49 | 橋台 | きょうだい | 橋梁の両端にあって、一般には取付け道路用の盛土や、河川堤防と橋梁とを接結する下部構造。上部構造からの荷重と橋台背面からの土圧および橋台自身の荷重を支持する。アバットとも呼ぶ。 | 図-3 図-10 |
50 | 橋台背面アプローチ部 | きょうだいはいめんあぷろーちぶ | 橋台と背面側の盛土等との接続部で、両構造間の路面の連続性を確保するために設ける構造部分。適切な構造を採用しないと、地震時に段差が発生する場合がある。 | - |
51 | 橋台パラペット | きょうだいぱらぺっと | 橋台において竪壁より上の部分に突出した部分。伸縮装置を設置するための後打ち部を設けたり、橋台背面土との連続性を保つための踏掛版の受台を設けるなど、土工部と橋梁部の連続性を保つために必要な部材である。胸壁ともいう。 | - |
52 | 橋長 | きょうちょう | 橋の全長であり、一般的には橋台パラペット前面間の道路中心線上の距離を指す。 | 図-10 |
53 | 橋門構 | きょうもんこう | 下路のトラス橋やアーチ橋などにおいて、2つの主構造の端部で門のような構造となっている部分を橋門といい、その上部にあって両側の主構造を結ぶ部分を橋門構という。橋に作用する風や地震などによる横方向の荷重を支承に伝える役目をする。骨組構造と充腹構造とがあるが、近年では後者が用いられることが多い。 | 図-6 |
54 | 近接目視 | きんせつもくし | 橋梁やトンネルなどの土木構造物の点検方法の一つ。橋梁点検車や高所作業車などを利用して、触診や打音検査ができる距離まで近づき、施設の損傷状態を目視により調べること。 | - |
55 | 金属溶射 | きんぞくようしゃ | 防錆を主な目的として、溶融した金属を高圧空気で霧状に素地に吹き付けて、表面に被覆層を形成すること。防錆用として亜鉛、アルミニウム、ステンレス、およびこれらから構成される合金などがが用いられる。鋼橋の防錆用として、一般に亜鉛、アルミニウム、および亜鉛-アルミニウム合金が用いられる。
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図-11 |
56 | 杭 | くい | 構造物に作用する荷重を地盤に伝えるために、地中に打ち込みまたは構築される柱材。設計上は、基礎体自身の弾性変形を考慮する必要のある柔な基礎形式。くいの種類は材料(鋼管杭、既製コンクリート杭、場所打ち杭)、施工法(圧入、先行削孔、孔壁保護)によって区別される。 | - |
57 | 隅角部 | ぐうかくぶ | ラーメン橋脚の柱と梁の接合部のように、2方向以上からの部材が交差する箇所。曲げモーメントやせん断力も大きく、局部的に大きな応力が生じる部分なので、ハンチやフィレットなどで補強することが多い。 | - |
58 | 躯体 | くたい | 構造物のうち、主として荷重を負担する部分、あるいは、それらで構成される骨組構造の総称。仕上げ部分や設備などを除いた部分で、コンクリート構造では、梁、柱、スラブ、壁などの部材とその集合体。橋梁では、橋台などの土圧を受ける本体部分をいうことが多い。 | - |
59 | グラウト | ぐらうと | 止水、一体化、地盤強化などを目的に、空げきや間げきにセメントミルクや薬液を注入することをグラウチングといい、注入する液状の物質をグラウトという。また、プレストレストコンクリート部材のうちポストテンション方式の部材において、緊張材とコンクリートの付着や緊張材の防錆などを目的として、緊張作業が完了したのちにシースと緊張材の空げきに圧入充填するセメントミルクをPCグラウトという。
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図-12 |
60 | クラック | くらっく | 1つの面に沿ってその両面の変位が不連続になっているもの。コンクリート部材ではひびわれ、鋼部材では亀裂ともいう。 | - |
61 | 計画高水位 | けいかくこうすいい | 河川計画で基準となる数十年に一度の出水時の水位。河口や河川の合流部において安全性や内水対策を考慮する場合等に必要とされる。渡河橋の計画において、橋台位置や付属物(落橋防止構造など)の設置において必要となる。 | - |
62 | 径間長 | けいかんちょう | 橋台と橋脚間、橋脚と橋脚間の橋脚中心線間の距離のことをいう(橋台の場合はパラペット前面までの距離)。 | 図-10 |
63 | 径間番号 | けいかんばんごう | 下部構造で区切られた区間を径間といい、径間に割り当てられた番号を径間番号という。 | - |
64 | ケーソン基礎 | けーそんきそ | コンクリートで作られた箱型(ケーソン)の構造物。柔らかい地盤にケーソンを沈め、地面に沈んだケーソンの中を掘削し、自重(自重では沈下力が不足する場合には圧入)によりケーソンが沈み込むのを利用して基礎を構築する。橋梁では、オープンケーソン(下図の左側)やニューマチックケーソン(下図の右側)が多く用いられる。
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図-13 |
65 | ケーブル | けーぶる | つり橋や斜張橋などにおいて鋼線を束ねて引張部材として用いたもの。あるいは、PC構造物にプレストレスを加えるための緊張材。また、鋼線をより合わせて作った鋼索の意味にも用いる。
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図-14 図-27 |
66 | 桁移動制限 | けたいどうせいげん | 上部構造が地震により移動することで、支承や伸縮装置が損傷することを防ぐため、上部構造の過度な移動を制限する構造物。コンクリートの突起、鋼製ブラケット、または縦型緩衝ピンなどが用いられる。 | - |
67 | 桁かかり長 | けたかかりちょう | 主桁端部から下部構造端部までの最短距離。必要な桁かかり長を有していない場合、地震時に支承部が破壊すると、上部構造が下部構造から逸脱し、落橋に至る可能性がある。 | - |
68 | 桁上縁 | けたじょうえん | 桁の上縁部のこと。鋼桁やPCT桁では上フランジ、PC箱桁では上床版の上端。 | - |
69 | 桁端部 | けたたんぶ | 桁の橋軸方向の端部のこと。伸縮装置からの漏水などにより損傷が発生しやすい。 | - |
70 | 桁長 | けたちょう | 桁の全長であり、桁端部から反対側の桁端部までの距離のことをいう。 | 図-10 |
71 | 設計基準強度 | けっせいきじゅんきょうど | 構造設計において基準とするコンクリートの強度。構造物を構成するコンクリートが満足しなければならない強度。設計において想定する荷重の組合せに対して、構造物を構成するコンクリートが設計基準強度を満足しなければ、耐荷性能が不足し、設計で想定していないようなひびわれや圧壊が発生する場合がある。 | - |
72 | ゲルバー部 | げるばーぶ | 下部構造上以外で桁を連結し、支承を設置する構造(ゲルバー桁)における桁の連結部。計算機の使用が一般的となる前に設計された橋梁において、連続桁を静定構造(力のつり合い式だけで、構造物各部の断面力を算出できる構造)として構造解析するために採用されている場合が多い。 | 図-48 |
73 | ケレン | けれん | 鋼構造の素地調整のこと。素地調整の程度によって1種ケレン~4種ケレンがある。 | - |
74 | 健全性 | けんぜんせい | 道路法施行規則、およびトンネル等の健全性の診断結果の分類に関する告示において規定する点検時に確認された構造物の状態や機能に応じて、Ⅰ(健全)、Ⅱ(予防保全段階)、Ⅲ(早期措置段階)、Ⅳ(緊急措置段階)の4段階で表される評価区分のこと。 | - |
75 | 鋼橋 | こうきょう | 橋の主構造にに鋼材を用いた橋。加工が容易で複雑な構造に適する、コンクリート橋と比べて軽量であることなどが特徴である。 | - |
76 | 鋼床版 | こうしょうばん | 縦方向および横方向にリブ(縦リブと横リブ)で補強した鋼板を用いた床版。コンクリート製の床版にくらべて軽量であることから、長大橋や桁高に制限がある橋に用いられる。鋼床版は橋の床として用いられる場合と、主桁の上フランジとしての役割を兼ねさせる場合がある。
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図-15 |
77 | 剛性 | ごうせい | 力が作用した時の変形しにくさ(変形に対する抵抗)を示す性質をいい、変形しにくいことを剛性が大きい、変形しやすいことを剛性が小さいという。
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図-16 |
78 | 合成桁 | ごうせいけた | 鋼部材とコンクリート部材、またはPC部材とRC部材を一体化させた桁。橋梁に用いられる合成桁の代表的なものに、鋼桁とコンクリート床版(または鋼コンクリート合成床版)を一体化した鋼コンクリート合成桁、プレキャストのプレストレスコンクリート桁と現場で施工する鉄筋コンクリート(またはプレストレストコンクリート)床版を一体化したプレストレストコンクリート合成桁がある。床版が主桁と床版の役割を兼ねている。
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図-17 |
79 | 鋼製ジョイント | こうせいじょいんと | 路面から目視可能な伸縮装置上面に、鋼部材が用いられた伸縮装置。伸縮装置とは、橋梁の路面端部に設置されるもので、気温の変化による橋梁の伸縮、地震時および車両の通行にともなう橋梁の変形を吸収し、自動車や人が支障なく通行できるようにするもの。 | - |
80 | 合成床版 | ごうせいしょうばん | 型枠を兼ねる底鋼板やPC板と場所打ちコンクリートから構成される橋梁用床版。床版厚を増さないで、耐荷力、剛性や耐久性を向上させることができ、場所打ち床版と比較して床版取替の施工日数を短縮できる。使用する材料や部材により、PC合成床版、鋼格子床版(グレーチング床版ともいう)や鋼コンクリート合成床版などがある。 | - |
81 | 構造細目 | こうぞうさいもく | 構造物としての機能、耐久性、施工性を確保するため、構造解析による設計計算によって決定されない部分の設計に関して規定しているもの。設計計算における前提条件を確保するための要件。 | - |
82 | 構造力学 | こうぞうりきがく | 力学の一般原理を応用し、外力の作用を受ける構造物に生じる断面力、応力、変位などの算出方法を体系化した学問分野。対象となる構造物には、橋、トンネル、建築物、航空機、船舶などが含まれる。 | - |
83 | 鋼板接着 | こうはんせっちゃく | 鋼板接着工法は、鋼板を鉄筋コンクリートの引張面に樹脂やアンカーボルトなどで接着して一体化し、耐荷力を向上させる工法。耐荷力が低下した部材への補強や、古い設計基準で建設された橋梁の耐荷力向上を目的として適用される場合が多い。 | - |
84 | 降状 | こうふく | 材料の応力-ひずみ関係において、弾性的性質(応力とひずみの関係が線形)を示す応力の限度をこえる力を加えると、応力は増加せずにひずみが増加する現象。降伏後、さらに力を加え続けると、塑性的性質を示すようになり、力を除いても変形は完全には回復せず、塑性変形が残留する。 | - |
85 | 鋼棒 | こうぼう | 棒状の鋼材で、高張力鋼を用いた鋼棒は、コンクリート部材へのプレストレスの導入に用いる場合もある。 | - |
86 | 高力ボルト | こうりょくぼると | 高強度鋼を用いたボルト。橋に用いられる高力ボルトには鋼部材の接合用の摩擦接合用と支圧接合用の二つがあり、鋼部材の現場接合の大部分には、摩擦接合用高力ボルトが用いられる。JIS B 1186に摩擦接合用高力ボルトの規格がある。ハイテンボルトともいう。
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図-18 |
87 | コールドジョイント | こーるどじょいんと | 継目を設けないコンクリートにおいて、先に打ち込んだコンクリートとの境界面の処理が不十分であったり、先に打ち込んだコンクリートが硬化を始め、これらの間を締め固めても十分な一体化ができないために生じる継目。
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図-19 |
88 | ゴム支承 | ごむししょう | 主要材料としてゴムを用いた支承。鋼製支承の移動および回転機構が上沓と下沓の接触部でのすべりやころがりであるのに対し、ゴム支承ではゴムの変形によって上部構造の移動・回転に追随する。鉛直荷重によって側方への変形や高さの変化を小さくすると同時に、鉛直支持力を増すためゴムの上下面に補強板を設けるのが一般的である。また、厚さが大きな場合は数層にわたってゴムと補強板を入れる重層形式が用いられる。ゴムにはクロロプレン系合成ゴムが一般的に用いられる。また、特殊なものとして天然ゴムを用い、それに埋め込んだ円環で膨出を抑制する形式もある。
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図-20 |
89 | コンクリート橋 | こんくりーときょう | 上部構造の主構造がコンクリートで構成された橋。鉄筋コンクリート橋(RC橋)、プレストレストコンクリート橋(PC橋)、鉄骨鉄筋コンクリート橋(SRC橋)がある。 | - |
90 | コンクリート片 | こんくりーとへん | コンクリートの欠片。橋梁の維持管理においては、橋梁を構成するコンクリート部材から、内部鋼材の腐食などによりかぶりコンクリートが剥落し、コンクリート片となる場合がある。桁下が道路や鉄道などの場合、落下したコンクリート片が桁下の通行者に被害を与える可能性がある。 | - |
91 | 載荷 | さいか | 構造物に荷重(力)を作用させること。 | - |
92 | サイドブロック | さいどぶろっく | 支承に設置し、主桁の橋軸直角方向の移動を制御するためのもの。 | 図-20 |
93 | 材料力学 | ざいりょうりきがく | 材料力学は弾性力学、塑性力学、粘弾性力学および材料強度学などを基礎として、実際の設計計算に役立つように、簡略化・単純化を加えた学問である。土木工学においては、構造や部材に関する力学として構造力学(structural mechanics)という学問分野も存在し、材用力学は材料の特性に主眼をおいた力学の総称として用いている。 | - |
94 | 座屈 | ざくつ | 柱や板などが圧縮力を受ける場合に、材料の降伏強度よりも小さい荷重で面外方向への曲りが生じ、それまでとは異なる変形状態に入る現象。座屈が生じると柱や板などは耐荷力が急激に減少し、破壊に至る可能性がある。
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図-21 |
95 | 錆汁 | さびじる | コンクリート中の鋼材(鉄筋、PC鋼材、鋼製のスペーサーなど)が腐食して茶色や褐色の腐食生成物がコンクリート表面に滲み出したもの。 | - |
96 | サルファ割れ | さるふぁわれ | 硫黄の偏析が層状に存在している鋼材を溶接したときに鋼材内部に発生する割れであり、結晶粒界に沿って発生する。古い鋼構造物に溶接で部材の追加設置を行う場合に注意が必要。 | - |
97 | 死荷重 | しかじゅう | 構造物本体、付属物、積雪などの重量による荷重。 | - |
98 | 支間長 | しかんちょう | 構造中心線または道路中心線に沿って測った支承の中心間距離。 | 図-10 |
99 | 軸距 | じくきょ | 自動車の車軸中心間の距離。2軸の自動車では前輪と後輪の中心間距離となる。下図のような3軸以上の自動車では、最も遠い前輪と後輪の中心間距離を最遠軸距、隣接している後輪同士の中心間距離を隣接軸距という。
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図-22 |
100 | 軸重 | じくじゅう | 自動車や列車の車軸から構造物などにかかる荷重。一般に輪荷重の2倍である。自動車において、後軸が一つの場合は単軸重、二つの場合は、2軸合わせた重量をタンデム軸重という。 | 図-22 |
101 | 事後保全 | じごほぜん | 構造物の損傷や機能低下が顕在化した段階で、補修や補強などの措置を実施すること。 | - |
102 | 支承部 | ししょうぶ | 橋梁の上部構造と下部構造との接続部で、上部構造の荷重を下部構造に伝達するための機能をもつ。温度変化、活荷重、地震などによる上部構造の伸縮、移動、回転に追随する構造とし、さらに、地震や風荷重などの上部構造に作用する横荷重、および地震時などにおける予期しない上揚力に対しても十分耐えられる構造でなければならない。沓ともいう。支承は、支持条件や使用材料、支圧面の形状などにより様々な種類がある。 | - |
103 | 下降伏点 | したこうふくてん | 軟鋼などの延性を有する鋼材の引張試験において、塑性変形が始まる応力である降伏点には、上降伏点と下降伏点がある。引張試験における荷重載荷速度に影響を受ける上降伏点に対し、下降伏点が安定な値を示すため、単に降伏点といえば下降伏点を指す場合が多い。
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図-23 |
104 | 止端割れ | したんわれ | 溶接部の止端(溶接金属と母材の境界部)から発生する割れのこと。
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図-24 |
105 | 支柱 | しちゅう | アーチ橋の構成要素のひとつで、アーチリブと補剛桁をつなぐ鉛直方向の部材。
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図-25 |
106 | 支点部 | してんぶ | 支承部のこと。一般的には、上部構造からの荷重を下部構造に伝達する箇所であり、下部構造天端であることが多い。方杖ラーメン橋では、脚部下端に支店が設けられる場合がある。 | - |
107 | 地盤力学 | じばんりきがく | 土や岩など地盤を構成する材料の力学的性質や透水性などの各性質、地盤内の応力と変位、土圧、支持力、斜面の安定などの理論と応用について扱う力学。 | - |
108 | 地覆部 | じふくぶ | 道路橋の両側に設ける、自動車の車輪が橋梁外に逸脱しないように路面より高くした部分。高欄や防護柵の土台ともなっている。 | - |
109 | 磁粉探傷試験 | じふんたんしょうしけん | 鋼などの磁性材料の表面または表面付近に亀裂が存在すると磁力線の乱れが生じることを利用し、亀裂に沿って付着した磁性粉を観察することで亀裂などの欠陥を検出する試験。
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図-26 |
110 | 遮音壁 | しゃおんへき | 音の伝搬経路に障害物が存在する場合、回折現象によって障害物の影の部分に回り込むが、その際に音は弱められる。この効果を利用して、道路の周囲に構築され、騒音防止対策に利用される壁状構造物。 | - |
111 | 斜材 | しゃざい | 骨組構造において斜めに配置された部材の総称。一般的には、トラス構造の弦材を斜めにつなぐ部材を指す。 | 図-6 |
112 | 斜張橋 | しゃちょうきょう | 主塔から斜め直線状に張ったケーブルで補剛桁の中間部を吊った形式の橋梁。ケーブルの配置方法に放射型、ファン型、ハープ型がある。吊橋と異なり、ケーブルを定着するアンカーブロックが不要である。長大橋への適用が多いが、美観に優れることから中小橋や歩道橋に適用される場合もある。
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図-27 |
113 | ジャンカ | じゃんか(まめいた) | 豆板のこと。「No.263 豆板」の解説を参照。 | - |
114 | 沓 | しゅう | 本来は支承の一部で橋桁など支持されている構造物に取り付けられる部分を指すが、橋梁においては支承と同義語に用い支承全体を指すことが多い。 | - |
115 | 沓座モルタル | しゅうざもるたる | 支承本体の下に無収縮モルタルで構築する。①台座コンクリートや下部構造天端と支承本体の密着、②支承部の高さを調整する、③支承の鉛直荷重を下部構造に伝達させることを目的としている。 | - |
116 | 主桁 | しゅ桁 | 自動車荷重や自重など上部構造から鉛直方向に働く荷重を下部構造に伝える桁。
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図-28 |
117 | 主構 | しゅこう | トラス橋における上弦材・斜材・垂直材、アーチ橋におけるアーチリブ、補剛桁、支材のことをいい、橋台や橋脚間を渡る主要な構造として主桁と同じ機能を有する構造。 | 図-1 図-6 図-24 |
118 | 主構トラス | しゅこうとらす | トラス橋における主構。上下弦材、斜材、垂直材などから構成される。 | 図-6 |
119 | 主部材 | しゅぶざい | 主桁、横桁、縦桁など、構造物の安全性や性能に直接的に影響を与える部材のこと。 | - |
120 | 上載荷重 | じょうさいかじゅう | 地盤上や床版上に載荷される荷重。一般的には、下部構造、擁壁、土留壁など抗土圧構造物の設計において、背面土の上に載荷する荷重を指す場合が多い。 | - |
121 | 床版 | しょうばん | 橋を通行する自動車、歩行者などの荷重を直接支持し、その荷重を主桁に伝達する部材。構造や材料により、RC床版、PC床版、鋼床版、鋼・コンクリート合成床版などがある。 | - |
122 | 床版防水層 | しょうばんぼうすいそう | 床版上面に敷設(設置)される防水材。床版への適用が多いものとしては、シート系と塗布系がある。
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図-29 |
123 | 上部構造 | じょうぶこうぞう | 橋の構造は、上部構造、下部構造、および上下部接続部に区分され、上部構造は橋に自動車や歩行者が載る部分。上下部接続部より上の部分となる。 | 図-10 |
124 | 上路橋 | じょうろきょう | 通行路の位置で橋を分類した場合の一つで、通行路を主桁やトラスあるいはアーチなどの橋の主構造の上方に設けた橋。これに対し通路を主構造の下方に設けた橋を下路橋(トラス橋やアーチ橋に多い)、中間部に設けた橋を中路橋(歩道橋に多い)という。
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図-30 |
125 | 伸縮装置 | しんしゅくそうち | 上部構造は温度変化などによって伸縮する。このような伸縮を阻害せず、かつ橋梁上を自動車などがスムーズに走行できるように、橋梁と土工部の境界や橋梁と橋梁との境界の路面に設ける伸縮可能な装置。鋼製やゴム製のものが主として用いられる。
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図-31 |
126 | じん性(靱性) | じんせい | 材料や構造のねばり強さ。部材の破壊が十分な変形を伴って生じる(延性破壊)場合に、靭性が大きいという。脆性の対語。 | - |
127 | 垂直材 | すいちょくざい | トラスを構成する部材の一つで、弦材に垂直に配置された部材。 | 図-6 |
128 | 垂直補剛材 | すいちょくほごうざい | 補剛材の一つで、部材軸に対して垂直に取り付けた補剛材。主桁との溶接接合部に疲労亀裂が発生した事例が多く報告されている。
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図-32 |
129 | スケーリング | すけーりんぐ | コンクリート表面がフレーク状にはげ落ちることの総称で、表面剥離ともいう。一般には凍害による損傷形態の一つであり、損傷の小さいものをピーリング(peeling)といい、損傷の深さが5~10mm程度で粗骨材の間のモルタルが損傷する場合を中程度のスケーリングという。 | - |
130 | スターラップ | すたーらっぷ | コンクリート梁部材において、軸方向鉄筋を取り囲むように梁と直角方向に配置される鉄筋。
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図-33 |
131 | ストップホール | すとっぷほーる | 疲労や応力集中の影響などにより鋼部材に発生した亀裂が進展しないよう、応急処置として亀裂の先端部に設ける円孔。割れ止め孔ともいう。亀裂の進行を一時的に止め、脆性破壊を回避する補修工法の一つとして用いられる。 | - |
132 | スペーサー | すぺーさー | コンクリート部材において、鉄筋やPC鋼材のかぶりや鉄筋と鉄筋のあきなどを確保するための治具。材料としては、モルタルブロック製、プラスチック製、金属製がある。形としては、正方形や円形などがあり、使用場所や部材の種類に応じて使い分ける。
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図-34 |
133 | ぜい性(脆性) | ぜいせい | 材料や部材などのもろさ。部材の破壊がほとんど変形を伴わずに生じる場合にこれを脆性であるといい、そのような破壊を脆性破壊という。靭性の対語。橋梁では、鋼部材の疲労亀裂や、コンクリート部材のせん断破壊などがぜい性破壊に分類される。 | - |
134 | 性能規定 | せいのうきてい | 記述基準に示されている目的(耐荷性、耐久性、およびその他使用目的との適合性)を達成するために必要な性能を示すことによって規定していこうとする考え方。対義語は仕様規定。 | - |
135 | 析出 | せきしゅつ | 液体や固体から内部成分などが結晶として分離する現象。コンクリート部材では、ひびわれから内部の遊離石灰(「No.244 遊離石灰」の解説を参照)がコンクリート表面に白い析出物として現れる場合がある。 | - |
136 | 接合部 | せつごうぶ | 部材同士を高力ボルトや溶接により連結した部分のこと。 | - |
137 | セパレータ | せぱれーた | コンクリート部材が所定の厚さになるように、型枠を一定の間隔に保持する鋼製部品。
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図-35 |
138 | 洗掘 | せんくつ | 橋台や橋脚の基礎周辺の土砂が流水により洗い流され、消失すること。洗屈により基礎が露出した状態では、地震時に基礎が不安定となり、下部構造の傾斜や沈下が発生する可能性がある。 | - |
139 | せん断補強鉄筋 | せんだんほきょうてっきん | せん断力が作用するコンクリート部材において、コンクリート断面と一体となってせん断力を負担させるために配置する鉄筋。
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図-36 |
140 | せん断力 | せんだんりょく | 断面力の一つで、断面に沿って作用する力のこと。一般的な桁橋では、支点付近でせん断力が最大となり、作用するせん断力が部材のせん断耐力を超過すると、コンクリート部材では斜め方向のひびわれ、鋼部材ではウエブのせん断座屈が発生する場合がある。 | - |
141 | 早期脱型 | そうきだっけい | コンクリート標準示方書(土木学会)などが定める標準的な湿潤養生期間よりも早期に脱型を行うこと。 | - |
142 | 素地調整 | そじちょうせい | 鋼部材の旧塗膜、錆、油脂、汚れなど、塗料の付着性や防錆性に有害な物質を除去すること。ケレン(「No.73 ケレン」の解説も参照)ともいう。素地調整の方法にはブラスト法、酸洗い、手動あるいは動力工具による方法などがある。 | - |
143 | 塑性 | そせい | 外力によって生じた変形(ひずみ)が、その外力を取り除いたあとも外力を加える前の状態にもどらない材料の性質。一般に弾性と対比される。
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図-37 |
144 | 外ケーブル構造 | そとけーぶるこうぞう | コンクリート部材において、PC鋼材を断面の外部に設置した構造。PC鋼材の状態を外観目視で確認することができる。 | - |
145 | ソールプレート | そーるぷれーと | 支承部において、鋼橋の主桁の下フランジと上沓の間に配置し、荷重を主桁に均一に作用させるための鋼板。 | 図-2 |
146 | ダイアフラム | だいあふらむ | 鋼箱桁などの閉断面部材において、その立体形状を保持するために内部に部材軸に直角に配置する板。同様の機能を持った部材であるが、コンクリート箱桁の場合には隔壁と呼ぶことが多い。
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図-38 |
147 | 耐荷機構 | たいかきこう | 荷重が作用した際、応力に抵抗する機構。 | - |
148 | 耐荷性能 | たいかせいのう | 設計供用期間中の任意の時刻における作用(活荷重、温度荷重、地震力など)に対して、必要な強度や剛度を有することで、作用に対して抵抗を発揮できる性能。 | - |
149 | 耐荷力 | たいかりょく | 構造物あるいは部材が有している抵抗力。実際の部材が発揮する耐荷力は、製作時の初期不整、材料強度のばらつき、劣化進行などによる不確実性を有している。 | - |
150 | 耐久性能 | たいきゅうせいのう | 設計供用期間中の任意の時刻において、材料の経年的な劣化が橋の耐荷性能に影響を及ぼさないことを実現する性能。 | - |
151 | 対傾構 | たいけいこう | 主に上部構造への横荷重に抵抗する部材で、主桁または主構を相互に連結するように鉛直面内に配置する。橋が立体的機能を保持して各部材に所定の機能を発揮させる役割を担う。
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図-39 |
152 | 耐候性鋼材 | たいこうせいこうざい | 大気中に暴露すると、時間の経過とともに表面に緻密な安定さびが形成され、次第に腐食速度が遅くなり、ある期間を経過するとほとんど腐食が進まなくなるような性質を有する鋼材。さびの安定化はCu、P、Ni、Cr、Mo、Siなどの合金元素によるものといわれているが、さびの安定化は常に期待できるものではなく、塩分や常に滞水している環境下では安定化しない。
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図-40 |
153 | 台座コンクリート | だいざこんくりーと | 支承部を構成する要素のひとつであり、支承高や横断勾配を調整するために設置する。 | 図-2 |
154 | 耐震性能 | たいしんせいのう | 橋が地震の影響を受けたときの耐荷性能や変形性能。道路橋示方書では、橋の重要度に応じて満たすべき性能が区分されている。 | - |
155 | 大偏心外ケーブル構造 | だいへんしんそとけーぶるこうぞう | 外ケーブル (PC鋼材) をコンクリート桁高の外に配置した構造。エクストラドーズド橋が主に中間支点上の負の曲げモーメントに対する鋼材量を低減することを目的としているのに対し、大偏心外ケーブル構造は支点上の負の曲げモーメントだけではなく、支間中央部の正の曲げモーメントに対する鋼材量の低減も目的としている。 | - |
156 | 多孔質 | たこうしつ | 多数の細孔(小さな穴)を有する材料。橋梁材料の中では、コンクリートや、その材料である粗骨材、一部の岩などが該当する。 | - |
157 | タックコート | たっくこーと | 舗装において、アスファルトまたはセメントなどを用いた下層と、アスファルト混合物からなる上層とを結合させるために、下層の表面に散布されたアスファルト。 | - |
158 | 縦桁 | たて桁 | 床版を支持する部材で、床桁(横桁ともいう)とともに床組を構成する部材。主桁と同じ方向に設置されているが、下部構造上で支承に支持されていない。 | 図-6 図-28 |
159 | 段落とし(鉄筋) | だんおとし | 鉄筋コンクリート橋脚柱部の主鉄筋(鉛直方向の鉄筋)の鉄筋量(鉄筋本数や径)が変化する箇所。 | - |
160 | 単純桁 | たんじゅん桁 | 桁を支持条件で分類した場合の一つで、両端を単純支持(桁の一端をピン支持、反対側をピン・ローラー支持)した桁。また、主桁に単純桁を用いた橋を単純桁橋という。
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図-41 |
161 | 弾性 | だんせい | 外力によって生じた変形(ひずみ)が、その外力を取り除いた場合に外力を加える前にもどる材料の性質。 | - |
162 | 弾性限度 | だんせいげんど | 永久ひずみ(塑性ひずみ)を生じることが無い範囲で、最大の荷重が作用している時の応力やひずみ。 | 図-23 |
163 | 端対傾構 | たんたいけいこう | 桁やトラスの端部あるいは連続桁(トラス)の支点上に配置する対傾構。横荷重を支点に伝達する役目をなす。 | 図-39 |
164 | 断面急変部 | だんめんきゅうへんぶ | 部材の断面性能(断面2次モーメント、断面積、鉄筋量など)が大幅に変化する箇所。 | - |
165 | 中空床版 | ちゅうくうしょうばん | 主版部分に多数の円筒型枠を設置した場所打ちコンクリート構造、または矩形の中空部を有するプレキャスト部材を現場で連結した構造。中空部があることで、桁の自重が低減されるメリットがある。ただし、場所打ちコンクリート構造の場合、円筒型枠の浮き上がりやボイド内への滞水などの問題があり、新設橋梁での場所打ち中空床版橋の採用は減少している。
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図-42 |
166 | 中性化 | ちゅうせいか | コンクリート中のアルカリ分と、大気中の二酸化炭素などが反応し、コンクリートのpHが低下する現象。中性化が進行すると、内部鋼材の不動態皮膜(「No.211 不動態皮膜」の解説を参照)が破壊され、腐食が発生しやすくなる。 | - |
167 | 鋳鍛造品 | ちゅうたんぞうひん | 鋳造品と鍛造品の総称。鋳造品はさらに鋳鉄品と鋳鋼品に分類できる。鍛造品は炭素鋼、低合金鋼を鍛造により成形したもの。鋳鋼品や鋳造品は、熱処理により機械的性質を改善したものが多い。鋼板を組み合わせることでは製作が困難な、支承本体などに使用されることが多い。 | - |
168 | 中路橋 | ちゅうろきょう | 通行路の位置で橋を分類した場合の一つで、桁やトラスあるいはアーチなどの高さ方向の中間部に通行路を設けた橋。桁橋の歩道橋や、一部のアーチの車道橋に適用されている。
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図-43 |
169 | 超音波探傷試験 | ちょうおんぱたんしょうしけん | 超音波を試験体中に伝搬させたときに、表面や表面近傍に亀裂などの欠陥があると、そこで超音波が反射することを利用した試験。橋梁分野では、鋼構造の亀裂探傷に適用される場合が多い。 | - |
170 | 長ばく形エッチングプライマー | ちょうばくがたえっちんぐぷらいまー | 二液形塗料で主剤はビニルブラチール樹脂と防錆顔料などを主成分とし、添加材はリン酸、水、アルコールを主成分としており、使用直前に両者を混合して使用する。重防食塗装が一般化される前は、鋼構造のプライマー(塗装の基層で防食性能を有する部分)として一般的に使用されていた。 | - |
171 | 継手 | つぎて | 部材などを継ぐことあるいは継いだ部分。鋼部材の継手には、溶接やボルトが用いられ、鉄筋の継手には、重ね接手、ガス圧接接手、機械式継手が用いられる。 | 図-39 |
172 | 吊り材 | つりざい | アーチ橋や吊り橋などで、補剛桁や床版に作用する荷重をアーチリブや主ケーブルに伝達する部材。
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図-44 |
173 | T桁 | てぃー桁 | 断面形状がT型の主桁。コンクリート桁に適用される場合が多い。 | - |
174 | 定着部 | ていちゃくぶ | 鉄筋、アンカーボルト、およびPC鋼材がコンクリートから抜け出さないように、コンクリートに固定した部分のこと。鉄筋やアンカーボルトは、コンクリート中に規定の長さを埋め込んだり、定着体を設けたりすることで定着し、PC鋼材はねじやくさびなどにより定着する。 | - |
175 | 定着方式 | ていちゃくほうしき | 鉄筋、アンカーボルト、およびPC鋼材をコンクリートに定着させる方法。「No.174 定着部」の解説も参照。 | - |
176 | 鉄筋露出 | てっきんろしゅつ | コンクリート中の鉄筋が腐食膨張し、かぶりコンクリートが剥落して鉄筋が露出すること。 | - |
177 | 点検支援技術 | てんけんしえんぎじゅつ | 定期点検において、近接目視を支援して状態把握を行うための技術であり、近接目視と同等の健全性の診断を行うことができる情報を取得できることが求められる。画像計測、非破壊検査、計測・モニタリング、データ収集・通信に分類した技術カタログを国土交通省が公開している。 | - |
178 | 添接部 | てんせつぶ | 添接板やガセットプレートを介して二つ以上の部材をつなぎ合わせたときの接合部。鋼部材の部材軸方向の接合部や、主桁、対傾構、横構などを接合している箇所が該当する。 | - |
179 | 凍害 | とうがい | コンクリートの細孔中の水分が凍結による膨張と解凍を繰り返すことで、コンクリート内部にひびわれが発生・進行し、コンクリート表面近くが劣化する現象。ポップアウトやスケーリングなどが凍害の代表的な変状である。 | - |
180 | 道路橋 | どうろきょう | 道路の一部を構成し、川、水路、道路などを跨ぐために設ける構造物。一般的には、橋長2m以上の構造物。 | - |
181 | 道路橋示方書 | どうろきょうしほうしょ | 日本における道路橋に関する技術基準である。国土交通省が定め、Ⅰ共通編、Ⅱ鋼橋・鋼部材編、Ⅲコンクリート橋・コンクリート部材編、Ⅳ下部構造編、Ⅴ耐震設計編の5編からなる。 | - |
182 | 道路構造物 | どうろこうぞうぶつ | 道路を構成する構造物の総称。橋だけではなく、盛土、切土、トンネル、ボックスカルバート、擁壁、シェッド、およびこれらに付帯する構造物が含まれる。 | - |
183 | 道路法 | どうろほう | 道路網の整備を図るため、道路に関して、路線の指定、認定、管理、構造、保存、費用の負担区分などの事項を定めた法律。この法律の中で、道路管理者は「道路を常時良好な状態に保つように維持し、修繕し、もって一般交通に支障を及ぼさないように努めなければならない」とされている。 | - |
184 | 道路法施行令 | どうろほうしこうれい | 道路法(昭和二十七年法律第百八十号)の規定に基き、及び同法を実施するために施行された政令。 | - |
185 | 特殊車両通行許可制度 | とくしゅしゃりょうつうこうきょかせいど | 車両制限令で定められる、一定の大きさや重さを超える車両(特殊車両)の通行の際に、あらかじめ道路管理者の許可が必要となる制度。 | - |
186 | トラス橋 | とらすきょう | 主構造にトラス構造を採用した橋。形状により下図のような種類がある。
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図-45 |
187 | 内部拘束(コンクリート) | ないぶこうそく | コンクリート表面と内部との温度差により、コンクリートの膨張や収縮が拘束されること。 | - |
188 | ニールセン橋 | にーるせんきょう | ローゼ橋の一種で、アーチリブと補剛桁を結ぶ吊り材を綾状に配置した橋。一般的に吊り材にはワイヤロープが用いられるが、棒鋼を用いる場合もある。Nielsenが発案したことからこの名称が付けられた。
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図-46 |
189 | 排水装置 | はいすいそうち | 橋面上の雨水などを取付道路の排水施設や桁下の河川などに排水するための設備。一般的に路面上の水は路面の勾配によって排水ますへ導かれ、排水管をへて所定の箇所に集めて放水される。
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図-47 |
190 | 箱桁橋 | はこ桁きょう | 主桁の断面形状によって橋を分類した場合の一つで、主桁に箱桁を用いた橋。鋼橋とコンクリート橋の両方で用いられている。 | 図-27 |
191 | 白華現象 | はっかげんしょう | コンクリートの表面に白い綿状の吹出物あるいは斑点が生じる現象。エフロレッセンスともいう。 | - |
192 | ハンガーケーブル | はんがーけーぶる | 吊橋において、補剛桁をメインケーブルから吊り下げるためのケーブル。 | 図-14 |
193 | 鈑桁橋 | ばん桁きょう | 主桁の断面形状によって橋を分類した場合の一つで、鋼板をアルファベットの”I”の字形に組んで、これを主桁とする橋 。鋼I桁橋ともいう。 | 図-39 |
194 | ピア | ぴあ | 橋脚のこと。 | - |
195 | PC構造 | ぴーしーこうぞう | 圧縮に強く引張に弱いコンクリートにPC鋼材を用いて圧縮力(プレストレス)を加え、曲げモーメントに抵抗する構造。プレストレスト・コンクリート構造の略。 | - |
196 | PC床版 | ぴーしーしょうばん | プレストレスを導入した床版。橋軸直角方向のみにプレストレスを導入するタイプ、橋軸方向のみにプレストレスを導入するタイプ、および2方向にプレストレスを導入するタイプがあるが、一般的には橋軸直角方向のみにプレストレスを導入する場合が多い。 | - |
197 | PCT桁橋 | ぴーしーてぃー桁きょう | 主桁の断面形状によって橋を分類した場合の一つで、プレストレスを導入したT桁(「No.173 T桁」の解説を参照)橋。 | - |
198 | ひずみ硬化 | ひずみこうか | 塑性変形に伴う現象で、降伏後にさらに変形させるためには降伏応力より高い応力を必要とする現象。加工硬化ともいう。 | - |
199 | 引張 | ひっぱり | 物を伸ばすこと。部材軸方向に引っ張られることを軸引張、曲げモーメントにより断面の一部が引っ張られることを曲げ引張という。 | - |
200 | 引張応力 | ひっぱりおうりょく | 垂直応力の一つで、部材のある断面を切った場合に、その断面に垂直な方向に引っ張られるように作用する応力のこと。部材軸方向に引っ張られるときの応力を軸引張応力、曲げモーメントにより断面の一部が引っ張られるときの応力を曲げ引張応力という。 | - |
201 | 引張強度 | ひっぱりきょうど | 材料が引張荷重によって破断するとき、または破断までの最大の応力。一軸引張試験で得られる引張荷重を原断面積で除して求める。材料の基本的な力学的特性の一つ。構造用鋼材では、炭素の含有量の増加とともに引張強度は増加する。コンクリートでは、一軸圧縮強度に比べて引張強度はかなり小さい。 | - |
202 | 非破壊検査 | ひはかいけんさ | 検査対象物の性質や形状寸法に変化を与えないで、劣化や欠陥を調べる方法。鋼構造物では①放射線透過試験 ②超音波探傷試験 ③浸透探傷試験 ④磁粉探傷試験 などがある。コンクリート構造物では、①赤外線サーモグラフィ法 ②超音波法 ③電磁波レーダ ④衝撃弾性波法 ⑤自然電位 などがある。 | - |
203 | 微破壊検査 | びはかいけんさ | 必要最低限の破壊で構造体内部を調査する方法。コンクリート構造物の小径コアによる強度や塩化物イオン量の調査などが代表的である。 | - |
204 | 表層 | ひょうそう | 複数の層からなる物体の最上部。舗装の表層、表層地盤、表層コンクリートなどがある。アスファルト舗装の表層は交通荷重を分散して基層や床版に伝える役目のほか、安全で快適な走行ができるように適当なすべり抵抗性と平坦性が要求される。表層には通常、加熱アスファルト混合物が用いられるが、簡易舗装では常温混合物や浸透式工法等も用いられる。 | - |
205 | 比例限度 | ひれいげんど | 応力-ひずみ曲線において、応力とひずみとの間に比例関係が成立する最大の応力。比例限界ともいう。この限界応力以下では、材料にはフックの法則(応力=ヤング率×ひずみ)が成立するものとして扱う。 | - |
206 | 疲労 | ひろう | 構造物が繰返し荷重を受け、その繰返し荷重によって発生する応力が静的破壊を生じる応力より低い応力であっても、構造物がその機能を失うことを疲労という。橋梁では、RC床版や鋼部材の溶接部で疲労による損傷が発生する事例が多い。 | - |
207 | 疲労設計 | ひろうせっけい | 設計供用期間に応力の繰り返しによる影響の累積により、部材の耐荷性能が低下しないことを照査する設計方法。応力度による照査を実施する場合と、構造細目を満足することで耐久性能を有しているとみなす場合がある。 | - |
208 | ヒンジ | ひんじ | 部材の結合点あるいは支点の構造の一種で、回転が自由で移動が拘束された構造。ヒンジでは曲げモーメントは零となる。
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図-48 |
209 | フーチング | ふーちんぐ | 構造物の柱または壁部分を受け、基礎あるいは地盤へ荷重を伝えるために設けられる版状の構造物。直接基礎の場合は支持地盤に接し、杭基礎の場合は杭頭部を連結し、躯体からの荷重を杭に伝達するとともに、全体の剛性を確保する目的で構築される。形式により独立フーチング(1つのフーチングに対して柱や壁が1つの場合)、連続フーチング(1つのフーチングに対して柱や壁が2つ以上の場合)などに分類される。底版ともいう。 | 図-3 |
210 | フェイスプレート | ふぇいすぷれーと | 鋼製伸縮装置本体の上層部分。車両走行により輪荷重が直接作用する。
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図-49 |
211 | 不動態皮膜 | ふどうたいひまく | 金属表面の腐食作用に抵抗する酸化皮膜。不動態皮膜が形成されている場合には鋼材は腐食しない。塩化物イオンが無く、中性化もしていないコンクリート中の鉄筋やPC鋼材の表面には不動態皮膜が形成されている。 | - |
212 | 不等沈下 | ふとうちんか | 構造物に支点や基礎地盤の沈下量が一様でない場合の沈下。下部構造の傾斜により上部構造の損傷や路面の段差の原因となる。不同沈下ともいう。特に複数径間の橋梁で、異なる種類の基礎形式を採用している場合や、基礎の支持地盤が異なるような場合や、単一下部工内でも支持地盤に傾斜がある場合は不等沈下の原因となることがある。
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図-50 |
213 | 踏掛版 | ふみかけばん | 橋台は強固に支持され沈下しにくいが、橋台背後の裏込土や盛土は沈下しやすい。このため、地震後に橋台とその背後の土工部に路面に段差が生じやすい。この段差が生じるのを防ぐため、橋台の背後に設けるコンクリートの版。
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図-51 |
214 | プライマー | ぷらいまー | 防錆効果と同時に金属の素地と塗り重ねる塗料との密着性を良くすることを目的として、素地に最初に塗る塗料。鋼橋に使用される代表的なものとして、従来はエッチングプライマー、ウォッシュプライマーがあり、重防食が一般的になってからはジンクリッチペイントが用いられている。 | - |
215 | ブラスト処理 | ぶらすとしょり | 鋼部材の塗装の際に、小さな粒(グリッド系の鋭角を持つ研削材、あるいはショット系の丸い玉の研削材)を噴射することで対象物に衝突させ、表面を処理する工法。主に、プライマーを塗布する前の鋼板に行い、錆や汚れの除去やプライマーと鋼板の付着性を高めることを目的に実施する。 | - |
216 | フランジ | ふらんじ | 部材を構成する部分の一つで、曲げモーメントを受ける部材において、部材軸線の上下に配置されている部分。突縁ともいう。主として曲げモーメントに抵抗し、引張応力および圧縮応力が生じるフランジをそれぞれ引張フランジおよび圧縮フランジという。また、I形断面などでは曲げ軸に関係なく、二つの平行に配置された部分をフランジともいう。 | 図-4 |
217 | ブリーディング | ぶりーでぃんぐ | フレッシュコンクリートやフレッシュモルタル(コンクリートやモルタルの材料を混ぜ合わせたもので効果前の状態)において、固体材料の沈降や分離によって、練り混ぜ水の一部が遊離上昇する現象。
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図-52 |
218 | プレキャスト | ぷれきゃすと | 工場製作されたコンクリート部材やコンクリート製品。現場工期を短縮できることや、コンクリートの品質管理が容易であることが特徴である。 | - |
219 | プレストレス | ぷれすとれす | 設計荷重(活荷重や温度荷重)により生じる引張応力を打ち消すように、あらかじめコンクリートに与えておく圧縮応力。 | - |
220 | フレッシュコンクリート | ふれっしゅこんくりーと | 材料を練り混ぜた状態で、まだ固まらないコンクリート。フレッシュコンクリートには、運搬、打込み、締固め、仕上げなどの作業の容易さが要求されるため、その性質として、変形あるいは流動に対する抵抗性および材料分離に対する抵抗性が求められる。 | - |
221 | プレテンション | ぷれてんしょん | プレストレスの導入方法のひとつで、コンクリートを打ち込む前(プレ)にPC鋼材を緊張し、コンクリート硬化後にPC鋼材端部を切断し、コンクリートにプレストレスを導入する。
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図-53 |
222 | 偏向部 | へんこうぶ | 外ケーブルを用いたPC橋において、偏向具をコンクリート部材に固定し、PC鋼材に与えられたプレストレスの鉛直方向分力をコンクリート部材に伝達するためのダイヤフラム等を含めた部分。新設橋ではコンクリートで製作し、既設橋の外ケーブル補強では鋼製ブラケットを用いる場合が多い。 | - |
223 | 防護柵 | ぼうごさく | 主として、走行中に進行方向を誤った車両が路外、対向車線または歩道などへの逸脱を防ぐために、車道に沿って設置する柵状の施設。運転者の視線の誘導や歩行者のみだりな横断を抑制する目的も備えている。橋梁に用いる防護柵の形式には、橋梁用ビーム型防護柵(鋼製)、剛性防護柵(コンクリート製)がある。 | - |
224 | 防食機能 | ぼうしょくきのう | 鋼部材の腐食を防止する機能。塗装、メッキ、および耐候性鋼材の安定錆などがある。 | - |
225 | 補強 | ほきょう | 部材や構造物の耐荷性能や耐震性能などの力学的な性能を向上させること。 | - |
226 | 補剛桁 | ほごう桁 | 吊り橋やアーチ橋において、橋全体および橋床部の剛性を補うために設ける桁。長大橋などにおいて、補剛桁がトラス構造の場合、これを補剛トラスという。 | - |
227 | 補剛構造 | ほごうこうぞう | 鋼板にリブを取り付け、剛性や座屈に対する抵抗性を高めた構造。橋梁では、鋼箱桁のフランジや、鋼製橋脚などが該当する。 | - |
228 | 補修 | ほしゅう | 部材や構造物の劣化進行を抑制し、耐久性能や機能を回復させること。 | - |
229 | ポストテンション | ぽすとてんしょん | コンクリートが固まった後に、あらかじめコンクリート内に配置したシースにPC鋼材を設置、および緊張することでコンクリートにプレストレスを導入する方法。 | 図-53 |
230 | ポストテンション桁 | ぽすとてんしょん桁 | ポストテンション方式で製作したPC桁。 | - |
231 | ポップアウト | ぽっぷあうと | 凍害により劣化したコンクリートに見られる変状の1つで、コンクリートの表面が薄い皿状に剥がれ落ちることを指す。 | - |
232 | 埋設型枠 | まいせつかたわく | コンクリート硬化後も取り外すことなく構造物の一部として使用される型枠のこと。モルタル板、鋼板(鋼コンクリート合成床版の底鋼板)、PC板(コンポ桁の床版)などが使用される。 | - |
233 | 巻立てコンクリート | まきたてこんくりーと | 鉄筋コンクリート橋脚の耐荷性能や耐震性能を向上させることを目的として、柱部に巻立てるコンクリート。 | - |
234 | 曲げモーメント | まげもーめんと | 構造物や部材に曲げ変形を生じさせようとする力。外力が1点にかかる単純桁では、力がかかる点から支点までの距離と、力の大きさの積。 | - |
235 | マスコンクリート | ますこんくりーと | ダムや橋梁などで大塊状に施工されるコンクリート。橋梁では、壁厚が厚い橋台や張出架設工法で架設するPC橋の柱頭部などが該当する。大きな水和熱が発生し、温度応力によるひびわれの発生が懸念される。 | - |
236 | 豆板(ジャンカ) | まめいた(じゃんか) | コンクリート部材において、モルタルの充填不良により粗骨材のみが集まっている部分をいう。ジャンガ、巣、あばたともいう。
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図-54 |
237 | 無機ジンクリッチプライマー | むきじんくりっちぷらいまー | 重防食塗装のプライマーとして一般的に使用されている、亜鉛を主成分とする粉末と、ケイ酸塩を主成分とする液体からなる一液一粉末の塗料。 | - |
238 | 無収縮モルタル | むしゅうしゅくもるたる | モルタルが乾燥収縮によって体積が減少するのを防ぐために、鉄粉、アルミニウム粉末など入れて、多少の膨張をさせるようにしたモルタルをいう。これらのモルタルは、沓の下面およびアンカーボルトの周囲の充填、およびPC鋼材のシース内に注入するPCグラウトに用いられる。 | - |
239 | メナーゼヒンジ | めなーぜひんじ | 鉄筋コンクリート構造に用いるヒンジの一つで、連結しようとする部材の連結部にX字形に交差した鉄筋を配置したヒンジ。RC中空床版橋の支承部や、コンクリート製の方杖ラーメン橋の脚部に用いられることが多い。
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図-55 |
240 | メンテナンスサイクル | めんてなんすさいくる | 点検→診断→措置→記録→(次の点検)の維持管理の一連のサイクル | - |
241 | モニタリング | もにたりんぐ | 構造物の位置や応答などの対象とする計測項目について精度・頻度などを明らかにしたうえで、時間的に連続的または離散的に計測し続ける行為。 | - |
242 | 盛りこぼし橋台 | もりこぼしきょうだい | 盛土で構築された地盤上に小橋台を設ける構造で、一般的には杭基礎が採用されている。
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図-56 |
243 | 遊間 | ゆうかん | 部材間の隙間。桁遊間という場合には、主桁と橋台パラペット、または主桁間の隙間のことで、通常、伸縮装置が設置される。 | 図-10 |
244 | 遊離石灰 | ゆうりせっかい | コンクリート表面に析出したセメントに含まれる石灰分(酸化カルシウム)。コンクリートが漏水や滞水していると、水の浸入するのとは反対側に発生している場合が多い。 | - |
245 | 床組 | ゆかぐみ | 床版からの荷重を主桁又は主構に伝達する部材で、主桁(主構)と並行に配置される縦桁、及び主桁(主構)と交差する方向に配置される床桁(横桁ともいう)で構成される。 | 図-39 |
246 | 用心鉄筋 | ようじんてっきん | 一般的な設計計算では必要な鉄筋量を決定困難な場合などに、経験的判断で配置する鉄筋。局部的に大きな応力が発生する箇所などに配置する場合がある。 | - |
247 | 溶接構造用耐候性熱間圧延鋼材 | ようせつこうぞうようたいこうせいねつかんあつえんこうざい | 一般的な溶接構造用圧延鋼材(SM材)に銅、クロム、ニッケルを配合することで、表面に緻密な保護性錆を生じさせる鋼材。 | - |
248 | 溶融亜鉛めっき | ようゆうあえんめっき | 430~470℃程度の溶融した亜鉛浴中に鉄鋼製品を浸漬し、鉄鋼の素地上に亜鉛の皮膜をつくる防錆方法。橋梁では高欄、支承、排水ますなどに用いられているが、近年では鋼橋の本体となる鋼部材にも用いられるようになっている。どぶづけともいう。 | - |
249 | 横桁 | よこ桁 | 主桁間に荷重を分配する部材で、主桁または主構を相互に連結するように配置する。橋が立体的機能を保持して各部材に所定の機能を発揮させるために、形状を保持する役割も担う。 | 図-28 図-39 |
250 | 横構 | よここう | 主に横荷重に抵抗する部材で、主桁または主構を相互に連結するように水平面内に配置する。 | 図-39 |
251 | 横変位拘束構造 | よこへんいこうそくこうぞう | 支承部が地震により破壊したときに、上部構造が回転移動することで下部構造から逸脱することを拘束するための構造。橋の桁長、全幅員、斜角や曲線半径に応じて要否を判定する。 | - |
252 | 予防保全 | よぼうほぜん | 橋の機能低下が顕在化する前の損傷が軽微な段階で措置を実施する維持管理手法。損傷状態を定期点検で把握し、機能の低下または停止を予測して事前に措置を行う方法と、損傷の有無に関わらず一定の期間が経過したら措置を実施する方法がある。 | - |
253 | ラーメン構造 | らーめんこうぞう | 柱と梁や、桁と橋脚を剛結し、部材接合部で曲げモーメントを伝達する構造。下部構造の柱と梁をラーメン構造とした場合には、柱基部だけではなく接合部でも地震時のエネルギー吸収を期待できることで高い耐震性能を発揮する場合がある。また、桁と橋脚を剛結した場合には、上部構造に作用する荷重によって生じる曲げモーメントを下部構造にも負担させることで、上部構造の桁高を低くできる場合がある。
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図-57 |
254 | ラーメン式橋台 | らーめんしききょうだい | ラーメン構造を採用した橋台。水平力に対する抵抗が大きく、またラーメンの空間が通路として使用できることから、桁下の水路や道路をラーメン橋台内に設け、橋長を短くできる場合がある。 | - |
255 | ライフサイクルコスト | らいふさいくるこすと | 橋梁が建設されてから供用期間を経て撤去までにかかる費用。従来は、各段階での工法選定時には初期費用のみを考慮していたことも多いが、近年はライフサイクルコストにより経済性を評価することが多い。 | - |
256 | 落橋防止構造 | らっきょうぼうしこうぞう | 部材や地盤の破壊に伴う予期できない構造系の破壊が生じても、上部構造の橋軸方向への落下を防止できるように設ける構造。コンクリート突起、鋼製ブラケット、緩衝チェーン、PCケーブルなどが用いられる。
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図-58 |
257 | 落下物防止柵 | らっかぶつぼうしさく | 跨線橋や跨道橋において、桁下に人や物が落下することを防ぐために設置する柵。 | - |
258 | ラミネーション | らみねーしょん | 圧延鋼材の欠陥の一つ。局部的に集合した気泡や酸化物が圧延中に圧延方向に沿って平行に伸ばされ、層状組織になり、これにより板厚方向の伸びが低下した部分。溶接などにより板厚方向に力が加わると、層状の割れとなって現れることがある。溶接前の鋼板に対する超音波探傷で欠陥の有無を検査可能である。 | - |
259 | ラメラテア | らめらてあ | 局部的に集合した硫化物が圧延中に圧延方向に沿って平行に伸ばされて層状組織となり、これにより板厚方向の伸び性能が低下し、溶接により板厚方向に付加された残留引張応力によって鋼板表面に平行方向に進展する剥離状のわれ。硫黄の含有量を低減した耐ラメラテア鋼の使用により発生を防止できる。
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図-59 |
260 | リベット | りべっと | 鋼板や鋼部材などを接合する場合に用いる部品の一つ。板などを重ね合わせて孔をあけ、それにリベットをさし込み、支圧接合(接合部に作用する力をリベットのせん断耐力で負担)。リベットは頭部と軸部とからなり、棒鋼の一端に頭を持ったものを赤熱し、リベット孔にさし込んだのち他端をリベットハンマーで打撃して頭をつくって締める。騒音や職人の減少により、現在は採用事例が非常に少ないが、既設橋梁ではリベットを用いた接合が使用されている場合がある。
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図-60 |
261 | 流体力学 | りゅうたいりきがく | 応用数学の1分野で、流体の諸現象を運動方程式と質量保存式(連続方程式)により解析する学問体系。橋梁に関連する応用としては、河川内に橋脚を設置した場合の流速や水位を解析的に算出する場合などに用いる。このような水を主な対象とする場合には水理学ともいう。 | - |
262 | リラクセーション | りらくせーしょん | 材料が一定ひずみを保持しているとき、応力が時間とともに減少する現象で、応力弛緩、レラクゼーション、リラクゼーションともいう。橋梁においては、高力ボルトの締め付け力や、PC鋼材のプレストレスが時間とともに減少することが問題となる。 | - |
263 | 輪荷重 | りんかじゅう | 車両のタイヤ1輪(ダブルタイヤの場合は2輪)から構造物(床版、伸縮装置など)などに作用する荷重。道路橋示方書では、最大で100kNの輪荷重を想定している。 | - |
264 | 隣接桁間 | りんせつけたかん | 多径間の橋梁において、橋軸方向に上部構造が分割されている際、隣に位置する桁との間隔のこと。 | - |
265 | ルート割れ | るーとわれ | 溶接部の低温割れ(溶接作業が終了し、室温まで温度が降下している時に発生する割れ)のひとつで、ルート(ギャップ)に発生する応力集中を要因とする。 | - |
266 | 連続桁 | れんぞく桁 | 桁を支持条件で分類した場合の一つで、1本の連続した梁を3点以上で支持された桁。連続梁ともいう。また、主桁に連続桁を用いた橋を連続桁橋という。 | 図-41 |
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