野外実験とは
はじめに

  豊川にダムを建設することにより、ネコギギの生息環境は影響を受けると予測されます(「豊川水系設楽ダム建設事業に係る環境影響評価書」、国土交通省 中部地方整備局,平成19 年6 月公告・縦覧)。このため、ネコギギを対象とする環境保全措置を実施するとともに、豊川水系のネコギギの保全に取り組んでいます。


ネコギギの保全に向けて

 どうすればネコギギを保全することができるかということについては、まだ不明な点が多くあります。当事務所では、ネコギギの保全手法を確立するために、専門家の指導・助言を得ながら下記の検討を行ってきました。

  • 豊川水系におけるネコギギの過去からの分布の変遷
  • 豊川水系におけるネコギギの現在の分布状況
  • ネコギギの生息場として適する場所の評価
  • 生息環境の整備の方策の検討(ネコギギの繁殖場、隠れ場となる間隙の整備等) 等

 詳しく知りたい方はネコギギ調査ファイルをご覧下さい!


 これらの結果を用い、かつての分布範囲内で、現在は分布していない場所を生息地として回復させることを検討しています。


野外実験について

 「ネコギギの生息に適すると考えられる場所」にネコギギを放流し、定着することができるかを確認する野外実験を行っています。
 野外実験では、生息場として適する場所の評価、生息環境の整備(環境改善)手法の確実性向上を目的に実施しています。

 なお、野外実験のフローについては、右図のとおりです。


野外実験のフロー

@実験淵の選定

 放流実験を行う場所として、過去のネコギギの生息範囲内で「生息適地」と考えられ、かつ近隣にネコギギが生息していない淵を選定しています。

 また、野外実験は以下の3ケースを考えています。

  • 現在はネコギギが生息しておらず、改変せずに生息できると思われる淵において放流を行うケース(実験ケース1)
  • 現在はネコギギが生息しておらず、生息地としての適性が低いと判断した場所で淵の生息環境を改善して放流を行うケース(実験ケース2)
  • 現在はネコギギが生息しておらず、生息地としての適性が低いと判断した場所で淵の生息環境を改善して、放流は行わず自然な流入定着を待つケース(実験ケース2')。

A親魚の採捕 B飼育・繁殖

 豊川のネコギギは個体数が少ないために多くの個体数を採捕すると、現在生息している個体群へ影響を与えてしまう(個体群が絶滅する)可能性があります。

 そこで、天然の親魚を採捕し、飼育下で増殖により得た個体(遺伝的な配慮をしたもの)を実験に用いることとしています。

 ネコギギは、自然界では、孵化してからある程度成長するまでの間に減少する割合が高いため、この期間を飼育下におくことで、多くの個体を得ることができます。このため、飼育・繁殖する技術の確立により、希少種であるネコギギの種の保存のためにもつながると考えています。


飼育繁殖状況については、こちらをご覧ください

C生息環境の改善

 ネコギギが生息していない淵で生息地としての適正が低い場所では、放流の前に石組み(保全対策工)などで生息環境の改善を行います。


D実験淵に放流

 稚魚の放流に際しては、飼育下の水温を放流場所とほぼ同じような水温に設定するなどして、可能な限り自然に近い状態で飼育を行い、十分な大きさになった段階で、選定した実験淵に放流しています。


E放流個体のモニタリング

 放流した個体が継続的に生息し、定着できるかどうかをモニタリングにより確認していきます。


ネコギギの生息環境改善の野外実験

 これまでに行ってきた野外モニタリング調査や施設での飼育繁殖で、繁殖利用された自然間隙と、繁殖に成功した屋外試験池の石組みの間隙を基に、人工構造物(繁殖場ユニット)を作成し、野外で生息・繁殖間隙創出方法の技術開発・現地試験を、平成28年から実施しています。
 平成29年7月には、野外生息淵に人工的に創出した繁殖間隙で、繁殖期に1例ではありますが、間隙内に稚魚を確認でき、繁殖場としての利用を確認しました。
 そのほかの実験淵でも、ネコギギが繁殖場ユニットを隠れ場として利用していることを確認しています。

 本事業によるネコギギ保全対策から、ネコギギの生態や生息・繁殖環境に関する知見が豊富に得られ、繁殖間隙の創出も可能となっていることから、今後も豊川流域のみならず伊勢湾流域全体のネコギギ生息域の保全に寄与するため、関係機関と連携していくこととしています。  



繁殖が確認された間隙の状況(H29.7)

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