| (総論)
中部圏域は、日本の中でも多様な地域性が、豊かに継承されている圏域であると思います。従って、住まいづくりを考える原単位として「中部」を一括りすることには、賛成しかねます。むしろ、「中部」の中での住環境の多様性への対応や、住環境資源の保全活用が検討され、住環境が均質化する首都圏とは異なる豊かな地域性に基づくライフスタイルや住宅政策が展開されることがふさわしいと思います。
そう言った意味で、私自身が仕事でおつきあいさせていただいている飛騨地域は、「中部」の持つ豊かな地域性を実際にまちづくりに展開している最も典型的な地域であると思いますし、他にも様々な地域でまちづくりや家づくりに取り組んでおられるように聞き及んでおりますので、貴会が「中部」の豊かさを担保する地域住環境の保全に重点的に取り組まれることを期待しております。
(具体的な課題の例示)
昨年、飛騨市への合併を控えた古川町・神岡町・宮川村・河合村の住民によって構成される「飛騨市を夢見る会」のアドバイザーの一人として、住民の皆さんとともに旧宮川村域の種蔵集落を見せていただきました。飛騨地域に見られる板蔵が石積みの棚田とともに見事に継承されている様に感動しました。ただし、将来にわたりこの地域住環境資源が保全されるための何らの担保もなく、また、必ずしも文化財としての現状維持が住民の方にとって望ましい方向性かというと、今後の合意形成に待つところであると思います。飛騨市にとっても既存の住宅政策に乗りにくく、かつ予算的な隘路もあり具体的な対応に至っていないとのことです。景観緑三法の整備や文化財保護法の改正のような国政の動きと連携して、このような地域住環境資源の新たな保全活用への道を模索することも、「中部の豊かな住まいづくり」を下支えする重要な政策の一例であろうと思われます。 |