Q 9:大沢川の土石流にはどんな特徴があるのでしょうか?

答え: 大沢川で発生する土石流には次のような特徴がみられます。
1)形態
 大沢崩れで崩壊した土砂はすぐに下流までは流下せず、源頭部の谷底に一旦堆積し、その堆積物がある程度蓄積した後、豪雨やスラッシュ雪崩により、土石流と化して流れ出すとみられます。土石流が峡谷部に流れ込んだ場合には、岩樋部までの谷底を扇状地まで一気に流下すると考えられます。
2)規模
 一回の土石流で扇状地に堆積する土砂量は数万〜30万mという規模です。昭和47年のように、連続で発生する場合もあります。
3)粒径
 土石流には直径2〜4mの溶岩の巨礫が多量に含まれます。一方、0.2o以下の細粒の土砂も多量にみられるほか、スコリアなど空隙の多い脆い石もまた多く含まれています。
4)流下速度
 流速は時速50qを超えることもあります。
5)発生時期
 昭和45年以降に大沢崩れで発生した主な土石流は表-1の通りです。初冬(11月末〜12月初旬)、晩春(3月末〜5月)に100〜200oの降雨でも発生することがあります。一般的には土石流は、7月〜9月の台風や梅雨期に発生しますが、大沢川では初冬や晩春に、大規模な土石流が発生することが特徴です。
表-1 大沢川での土石流発生年月日一覧
土石流
発生年月日
気象要因 連続
雨量
(mm)

雨量
(mm)
最大
時間
雨量
(mm/h)
流出
土砂量
(千立方m)
流出
形態
1972年(昭和47年)
5月1日
5月5日
6月8日
7月6日
7月12日

低気圧・融雪
低気圧・融雪
前線・融雪
低気圧・融雪
低気圧

168
139
213
293
551

144
129
117
188
361

26
22
31
81
100

250*
300*
150*
50*
100*

土石流
土石流
土石流
1979年(昭和54年)
4月8日
5月8日

前線・融雪
前線・融雪

150
140

150
111

45
26

 

土石流
土石流
1991年(平成3年)
11月28日

低気圧

226

166

39

182**

土石流
1997年(平成9年)
6月20日
11月26日

台風
低気圧

321
298

221
283

63
33

195**
199**

土石流
土石流
2000年(平成12年)
11月21日
低気圧に
伴う大雨

260

149

37

280

土石流
2004年(平成16年)
12月5日

大雨・融雪

162

106

31

110

土石流
*:遊砂地・沈砂地での堆積
**:岩樋下流部下量