V.治水関係事業

3.治水関係事業のポイント
 
3−1.平成14年度治水関係予算の基本方針

国土交通省重点施策の骨格に沿った環境問題への対応、都市の再生等重点的に推進すべき7分野への投資を徹底したメリハリのある予算
融合・連携施策、ハード・ソフト一体となった施策の推進等により、できる限り効率的・効果的に事業を執行
平成12年9月東海豪雨により甚大な被害が発生した庄内川、新川、天白川等の河川において、再度災害防止のための対策重点的・緊急的に事業を執行。
 

3−2.重点的に推進すべき7分野の主要事項


循環型経済社会の構築など環境問題への対応
  21世紀を迎え、ますます高まる環境問題に適切に対応するため、自然共生型事業の 推進、リサイクルの徹底等環境にやさしい事業を推進する。
 
 
  ◆自然共生型事業の推進
  ○生物の良好な生息・生育環境を有する河川・海岸環境等の保全・再生
   ・自然再生事業が創設されたことを受け、良好な河川環境の形成(干潟、ヨシ原の復元
    等)を積極的に推進。
 
   【事例】木曽三川河口部干潟造成事業(三重県長島町)
        木曽三川河口部において、多様で豊かな河口部本来の環境を復元するため水制工
       (土留め)及び干潟造成を推進。
          
■干潟造成施工前(木曽川)
■干潟造成施工後(木曽川)
■再生された干潟の利用状況
 
 
 
  ○流域一貫となった総合的な土砂管理の推進
   ・山地から海まで流域一貫した総合的な土砂管理などの良好な河川環境の保全、再生を
    目的とした自然共生型のダム事業等を推進。
 
   【事例】三峰川総合開発事業(長野県高遠(たかとお)町、長谷(はせ)村)
        天竜川水系美和ダムにおいて、恒久堆砂対策を目的としたバイパストンネル、分派
       堰の建設を推進。

 
    ■堆砂が進む美和ダム(天竜川)           ■恒久堆砂対策イメージ
 
 
 ◆リサイクル・リユースの徹底
  ○循環型社会の構築
   ・環境負荷の少ない循環型社会の構築に向けて、砂防事業と海岸事業が連携し、砂防施
    設で捕捉した流出土砂による養浜を推進。
 
   【事例】富士山大沢扇状地除石事業(静岡県富士宮市)
       富士海岸吉原工区養浜事業(静岡県富士市)
        富士川水系総合土砂管理の一環として、砂防事業と海岸事業が連携し、富士山大沢
       扇状地で捕捉した流出土砂による富士海岸吉原工区の養浜工を推進。

■サンドバイパス模式図
 
 
■大沢扇状地における除石(富士山)  


 

少子・高齢化への対応
  河川などの公共空間をバリアフリー化し、水辺にアプローチしやすくするほか、自力
 避難が困難な高齢者等の災害弱者への防災対策として、土砂災害防止施設等を重点整備
 する。
 
 
 ◆河川空間のバリアフリー化
  ・河川などの公共空間にアプローチするためのバリアフリー化を推進するため、水辺空間
   へのアプローチに配慮したまちづくり計画と連携した河川整備を推進。
   【事例】木曽川笠松地区改修(岐阜県笠松町)
        笠松町の「笠松みなと公園」のまちづくり計画と一体となった大規模引堤事業を推進。
 
 ◆高齢者等の災害弱者対策の推進
  ・自力避難等が困難な災害弱者の安全性を向上するため、病院、老人ホーム等の施設を防
   護する砂防事業を推進。
   【事例】狩野川水系軽井沢砂防ダム(静岡県天城湯ヶ島(あまぎゆがしま)町)
        病院等の災害弱者施設を防護するため、砂防堰堤建設を推進。

 
       ■軽井沢砂防ダム(狩野川)                 ■災害弱者施設(病院)



地方の個性ある活性化、まちづくり
  頻発する水害、土砂災害、火山噴火などに対し、集中的に防災対策を実施するほか、
 生活用水の確保や住宅宅地開発を促す河川改修など、地域の活性化、まちづくりに必要
 な基盤整備を実施し、安全で安心できる地域社会の形成を目指す。
 
 
 ◆安全で活力ある地方の創出
  ○豊かで安全な地域を生む出す社会基盤の整備

   ・河川事業

   【事例】揖斐川支川牧田川・杭瀬川改修事業(岐阜県大垣市、養老町)
       揖斐川支川牧田川及び杭瀬川において、旧堤撤去及び河道掘削等を推進。

 
 
■河川改修進捗状況:揖斐川支川牧田川・杭瀬川(近鉄牧田川橋梁付近)

   【事例】狩野川支川来光川災害復旧等関連緊急事業(静岡県函南(かんなみ)町)
         狩野川支川来光川において、平成10年8月発生災害の災害復旧対策等による流量増
       に対応するため、下流部の緊急的な改修「河川災害復旧等関連緊急事業」を完了。
 
   【事例】雲出川支川中村川特定構造物改築事業「近畿日本鉄道新中村川橋梁」
                                  (三重県嬉野(うれしの)町)
        雲出川支川中村川において、治水上ボトルネックとなっている近畿日本鉄道短絡線
       新中村川橋梁の架替「特定構造物改築事業」を新規に着手
 

   ・ダム事業

   【事例】庄内川水系小里川ダム建設事業
             (岐阜県瑞浪市、山岡町)
        平成15年度の完成を目指し、洪水調節、
       河川環境の保全のための流水の確保、発電を
       目的とした小里川ダム建設事業の推進。平成
       14年秋より試験湛水。
         
           ■庄内川水系小里川ダム(H13.11月)
                                                            
   【事例】大井川水系長島ダム
              (静岡県本川根(ほんかわね)町)
        洪水調節、河川環境の保全等のための流量
       の確保、かんがい用水・水道用水の補給を目
       的とした長島ダム管理移行。
        
           ■大井川水系長島ダム(H14.3月)
 
 
   ・砂防事業

   【事例】入谷(にゅうや)地区・此田(このた)地区地すべり対策事業(長野県大鹿村、南信濃村)
        急峻な地形と脆弱な地質の入谷地区及び此田地区において、地すべり対策を推進。
           
                ■天竜川水系入谷地区        ■地すべりを抑止するアンカー工
 
 
   ・海岸事業

   【事例】駿河海岸大井川工区有脚式離岸堤(静岡県大井川町)
        海岸侵食の著しい駿河海岸において、侵食・高潮対策のための有脚式離岸堤の
       整備を推進。
 
 
  ○地方圏における人流・物流の確保
   ・災害による広域的な物流の遮断等社会経済的に極めて重大な被害の発生を防止するための事業を推進。
   【事例】富士海岸蒲原工区有脚式離岸堤(静岡県蒲原(かんばら)町)
        富士海岸蒲原工区において、国道1号線、東名高速道、JR東海道本線等の基幹
       交通網を防護するため、有脚式離岸堤による侵食高潮対策を推進。
   
    ■有脚式離岸堤による消波効果  
   
   ■基幹交通網を防護する有脚式離岸堤


◆人が集まる拠点整備
  ・自然とふれあうことのできる河川の様々な機能を活かし、個性的で活力ある地域づくり
   に資するため、教育委員会や市民団体、地方自治体と連携しつつ、交流、自然体験、環
   境教育の拠点としての身近な水辺空間等の整備を推進。
   【事例】天竜川岩田地区「水辺の楽校」(静岡県磐田市)
        天竜川支川一雲済川は「一雲済川川づくり懇談会」により地域住民の意見を反映した
       川づくりを実施している。この下流の天竜川合流点の岩田地区において、自然豊かな河
       川環境を活かし、地域住民等と連携した「水辺の楽校(平成14年1月31日登録)」の整備
       に着手。
     
      ■一雲済川の整備状況(天竜川支川一雲済川)      ■自然豊かな河川環境(天竜川)
                               


都市の再生−都市の魅力と国際競争力
  都市の魅力と国際競争力を高め、豊かで快適な、また、経済活力に満ちあふれた都市
 の再生を実現するため、「美しい水辺都市の再生」、「災害に強い都市の構築」及び「水
 と緑のネットワーク整備」に重点的に取り組む。
 

 ◆美しい水辺都市の再生
  ・水辺環境が著しく劣悪な都市域において、貴重な自然空間である河川を本来の川らしい
   姿に再生するため、都市再開発、下水道事業等と連携を図りながら、水辺環境の改善を
   推進。
 
   【事例】堀川総合整備(補助;愛知県名古屋市)
         「うるおいと活気の都市軸・堀川」を再びよみがえらせることを目標として、護岸や河床
        浚渫を実施。
     
       ■整備前の状況(堀川)                ■整備後のイメージ(堀川)
 
 
 ◆災害に強い都市の構築
  @水害に強い都市の構築
   ・「庄内川・新川、天白川河川激甚災害対策特別緊急事業」
     平成12年9月東海豪雨により甚大な被害が発生した都市域の防災性を向上させる
    ため、庄内川、新川、天白川等の河川において、堤防の強化、河道掘削等の再度災害
    防止対策を概ね5箇年間で重点的・緊急的に事業推進。
   ・「特定構造物改築事業」
     治水上のボトルネックとなっている橋梁等の改築を緊急的に実施するため「特定構
    造物改築事業」として国道1号線一色大橋(庄内川)の架替を推進するととも、JR
    東海道新幹線庄内川橋梁等
の架替を新規に着手。(P- 参照)

■新川破堤箇所の復旧
■H12.9月東海豪雨により浸水した市街地
■庄内川の堤防補強工事
      
 
  A渇水に強い都市の構築 
   ・渇水の頻発する豊川水系において、洪水調節、既得用水の安定化、河川環境の保全等
    のための流水の確保、新規利水等を目的とした設楽ダムの実施計画調査を推進。
   ・渇水の頻発する木曽川水系において、洪水調節、既得用水の安定化、河川環境の保全
    等のための流水の確保、異常渇水時にも対応した流水の確保、新規利水等を目的とし
    た徳山ダム建設事業を推進。

        
      ■渇水により枯渇する木曽川水系牧尾(まきお)ダム   ■渇水により枯渇する豊川水系宇蓮(うれ)ダム
                          (H13.8.17撮影)               (H13.8.17撮影)
 
 
 ◆水と緑のネットワーク整備
  ・土砂災害箇所が集中している市街地に隣接した山麓において、森林組合等と連携し山麓
   斜面のグリーンベルトとなる樹林帯等の整備を推進。
   【事例】都市山麓グリーンベルト整備事業(補助;静岡県静岡市、清水市)

     
     ■樹林帯を住民と協働で整備             ■都市山麓グリーンベルト整備事業のイメージ
 
 

世界最先端のIT国家の実現
  ITを活用し、災害に関する情報の収集・提供を迅速に行うための観測機器及び光フ
 ァイバー網による防災情報ネットワークの整備を推進。
 
 
  ◆ITを活かした迅速な危機管理と的確な情報提供
  ・堤防強化、河道改修、遊水地等の整備などのハードな対策を補うために、河川水位、雨
   量、堤防の挙動や出水状況の映像などの情報を、防災関係機関や住民に正確かつ迅速に
   提供する防災情報ネットワークの整備を図る。
    
        ■防災情報ネットワークのイメージ
 
 ◆ハード・ソフト両面からの防災・安全対策による被害の回避、最小化
  ・平成14年度出水期を目標に公表が進められている「浸水想定区域図」を活用し、関係
   市町村の「地域防災計画」への反映や、「洪水ハザードマップ」の作成支援など、ハー
   ド、ソフト両面からの被害の軽減、回避、最小化等を図る。

   
    ■ハザードマップの事例

   
   ■浸水した市街地を避難する住民
    (H12.9月東海豪雨)
 
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